専門病棟における治療について
アルコール依存症は精神科の病気であるにもかかわらず、もっとも見逃されていることの多い病気です。アルコール依存症への誤解を挙げてみましょう。「まだ仕事が出来ているから」、「暴力を振るわないから」、「仕事でストレスがたまるから飲むのは仕方がない」、「警察沙汰になったわけでないし」…
これらは残念ながら、アルコール依存症を否定する材料にはなりません。アルコール依存症の人が暴力を振るうとは限りませんし、大部分のアルコール依存症はむしろ、一人で飲み(隠れ飲みも多い)、自分の飲み方が少しおかしいと思いつつ、つい飲みすぎてしまい、仕事は必死に続けている人たちです。
人格のおかしな人がなる病気でもありません。アルコールの飲み方が、どうもおかしいと思われたら、ご相談ください。ご家族だけの相談は歓迎です。
また、アルコール依存症は「否認の病気」とも言われ、本人は「俺はいつでも酒をやめられる。だから、アル中などではない」と言うこともあります。しかし、その場合でも家族の理解と協力があれば、かならず治療に結びつき、アルコール依存症に苦しんでいた多くの家族が、明るい回復の道を歩むことが出来ます。当院では、アルコール依存症の家族会を運営し、家族、知人の飲酒問題に苦しむ方は、どなたでも参加できるシステムをとっています。
アルコール依存症の回復は基本的に本人の問題ですが、回復の支えには家族が大きな役割を果たすことがあり、当院は40年以上、定期的な家族会を開いてきました。当院医師・大河原昌夫の書いた『精神科医の出会った家族の風景 アルコール依存症と摂食障害の経験』などもご参照ください。
治療プログラムの概略
当院では、外来治療は勿論ですが、アルコール依存症専門病棟(開放病棟)による入院医療をおこなっています。
入院治療では医師による講義、ビデオによる疾患の説明、集団療法などを通じ、アルコール依存症への理解を深めてもらいます。
また、地域の断酒会、AAなど「自助グループ」と連携し、酒なし生活の援助をおこなっています。
住吉病院を退院され、アルコールと縁を切り、明るい家庭生活、職業生活を送っていらっしゃる方は沢山いますが、何年経っても病棟を訪れ、飲んでいた頃の苦しい生活とともに、現在の健康な生活を語ってくださり、それがスタッフの喜びです。
院内断酒会等
自助グループ(断酒会・AA)
断酒会やAAでは自ら酒害にまつわる体験談を語ったり、仲間の話を聴いたりしながら回復への道のりを歩みます。
これらの自助グループには、院内で行う断酒会と、地域で行なわれている断酒会・AAがあります。
アルコールセンターでは、退院後も継続して自助グループに参加できるよう、入院中から参加のお手伝いをしています。
院内断酒会等 |
住吉病院月例断酒会 / 毎月25日 13:30~15:00 (アルコールセンター) 住吉病院第2木曜例会 / 毎月第2木曜日 19:30~21:00 (アルコールセンター) |
地域の断酒会 |
甲府・富士吉田・峡西・峡東・峡北・竜王・中道・身延・日下部等があり、入院中から参加に繋げられるよう、病院から送迎があります。 |
AA |
甲府・山梨市・韮崎・昭和・峡東・大月・甲府昭和・昭和田富等があります。 AAは基本的に本人のみの参加です。 |
院内例会
毎週木曜日 |
13:30~14:30 (当院アルコールセンター) |
アルコール依存症についての学習会です。テーマに沿って医師・薬剤師・栄養士・看護師等の講義を受けていただきます。
テーマの一例
- アルコール依存症とは
- アルコール依存者の心理
- アルコール関連疾患
- アルコール依存症からの回復
- 酒なし生活術
- 家族の心理
- 自助グループについて
- 抗酒剤について
- 健康と栄養
- 入院生活について
家族会
病気についての正しい知識と家族の役割について学びます。
行軍
毎月第3月曜日 |
往復約24~26㎞の距離を歩きます。
主なコース / 千代田湖・護国神社・藤垈の滝・曽根丘陵・万力公園・昇仙峡・清里方面など |
社会復帰に向けて心身の鍛錬及び、苦しみに耐える忍耐力を養い、個人では遂行でき得ないものを集団の力により遂行し、一番大切で難しい断酒生活に必要な力に置き換えることを目的としています。
瞑想
2分間目を閉じ一日を振り返り、これからの生き方を考えます。
その後「院内断酒誓約」を全員で朗読します。
その他のプログラム
グループミーティング、小グループ、心理プログラム、園芸、健康管理、作業療法、読書会など。
作業療法士・臨床心理士・看護師などが担当して行っています。
住吉病院 アデクション・女性の会
日時 |
毎月第1、3金曜日13:30~14:30 |
場所 |
アルコールセンター 第一会議室 |
対象 |
女性の入院・外来・地域のアルコール・薬物・ギャンブル等 依存症関連の方 |
参加費 |
300円(入院以外の方) |
担当スタッフ |
女性の看護師と心理士 |
問い合わせ |
アルコールセンターまたは臨床心理室 |
当院では平成7年から、アルコール依存症の女性の方が語り合える場として女性ミーティングを行ってきました。
新たに、平成23年6月からは対象を広げ、ミーティングの名前も“Addiction(アディクション)・女性の会”となりました。アルコール依存症の方だけでなく、薬物、ギャンブル等の依存症関連の方の参加もお待ちしています。
☆なるべく、一回は当院外来を受診して下さることをお願いしています。
会の趣旨
- 女性どうしでしか話せないことを何でも話せるように
- 回復した女性の話を聞く機会に
- 女性固有の課題や問題を理解するために
断酒会等の開催日については、変更する場合もありますので、事前にご確認ください。