タバコ使用は精神病の原因となるか?
- 2016.04.08
- 日記
LANCETに次のような論文が掲載されました。
Gurillo P,Jauhar S,ry.al.:Does Tobacco Use Cause Psychosis? Systematic reivew and meta-analysis.Lancet Psychiatry,2,718-825,2015
ネットでも読むことができます→http://www.thelancet.com/pdfs/journals/lanpsy/PIIS2215-0366(15)00152-2.pdf
背景
タバコ使用と精神病の関係はよく知られているが、精神病を持つ人々が一般人口より高い喫煙率になる理由不明瞭である。筆者たちは前方視的・ケース対照研究・横断的研究の系統的レヴューとメタ解析を用い、いくつかの仮説を検討した。1)毎日のたばこ使用が、ケース対照研究と前方史的研究で精神病発症のリスクを造ぢさせるかどうか、2)タバコの日常的使用がより早期の発症と関連するか、3)喫煙年齢が早いほど精神病発症のリスクを増加させるか。また、精神病の初回エピソード期間中に患者が喫煙している率の見積りを推定した。
方法
Embase、Medline、d PsycINFOを検索し、精神病患者と健常者の対象観察研究で喫煙率が記載されている研究を選んだ。タバコ使用開始の開始年齢と精神病発症年齢の重みづけ平均差を計算した。横断研究からオッズ比を、前方視研究からはリスク比を算出した。
所見
72のサンプルから成っている61の研究が、試験対象患者基準と合致した。全体のサンプルは14 555名の喫煙者と273162の非喫煙者を含んでいた。初回精神病エピソード者において喫煙オッズ比は0.57であった(p<00001)。ケース対照研究では喫煙者対非喫煙者の精神病の初回エピソードのオッズ比は、3.22であり、出版バイアスの証拠があった(Eggerテストp=0.018、Beggテストp=0.007)。
前方視的研究においては、毎日の喫煙者対の非喫煙者の新規精神病発症のリスク比は2.18(Eggerテストp=0.002、Beggテストp=0.024)。毎日の喫煙者は、精神病の病気を非喫煙者より早い年で発症した(重みづけ平均差-1・04年)。精神病者の喫煙開始は健常者のコントロールより0.44年早かった。
解釈
日常的なタバコ使用は、精神病の発症リスクの増大と精神病発症年齢が有意に若年であることと相関する。タバコ使用と精神病の発症には因果関係のある可能性があり、さらなる調査に値する。
※超(怪)訳ですが、タバコ使用は統合失調症の自己治療行動とみなす向きもありますが、
やはり喫煙は精神病症状発症のリスクを高めるものと考えられます。
最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。
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