寄せ書きその2

寄せ書き | 公益財団法人 住吉偕成会 住吉病院 (sumiyoshi-kaisei.jp)にてご報告いたしましたが、先月の中頃、県内の障がい者施設で新型コロナウイルス感染症の集団発生が起こり、弊法人からも応援のメッセージと些少ではありますがドリンクと感染症対策物資を送らせていただきました。その後このご施設では感染症は収束されたということで安堵しております。

6月下旬になり、私どものよりお近くにあって障害を持ちの方がご利用されている法人様でもクラスターの基準に至る数の集団発生がありました。この法人様も集団発生についてすみやかに公表され、素晴らしい対応でした。

弊法人ともさまざまなところにある法人様でのことですので、今回も病院の伝統となっているドリンク差し入れと感染症対策の品として厨房利用しつらえのアルコール液に法人有志からのメッセージを添えて6月29日にお届けに上がりました。距離的にも近いこともあり、直接お渡しに行くことができました。

先方様では、県への報告の直後に感染症対策チームからのサポートがあり、私どもがお邪魔したときにはすでにゾーニングがしっかりとなされていて、検査陽性の方々は同じ敷地内の別の建物でご静養されていました。医療資格のあるスタッフの方はPPEフル着用で利用者さまの対応にあたっておられ、頭が下がる思いでした。

障害をお持ちの方の中には、慣れた環境から離れることで不安が生じてしまうこともあるため、このご施設では別棟でレッドゾーンとして検査陽性の方をお移しして観察されてたということでした。これらの方は県の集計の中では入院ではなく、療養施設への入所でもないため「その他」というカテゴリーになっていますが、もう少し良いネーミングがあったら、と思いました。

外来診療においてもさまざまな福祉施設におられるスタッフのご心労を感じることもあります。そして、社会に影響を与える緊急事態宣言等の判断基準としての病床利用率の数値にカウントされずとも、現場で努力されているスタッフの皆さまには深く敬意を表する次第です。スタッフの皆さまのお力もあり、このご施設では7月12日に一旦「収束」となったとのこと、まことによろこばしく、当ブログをupしてお祝いの気持ちを表明させていただきました。

わが国では、ハンセン氏病やHIV感染症などの感染性疾患にかかられた方々やご家族に対して、また、精神障害をお持ちの方やそのご家族に対して、原子力発電者の事故で被災された方々に対して、マスメディアやSNSなどの誇張された情報やデマに惑わされ、限られた情報に基づいた「正義」によって差別・偏見が生じ、人々が分断されてきた歴史があります。今もなお精神的困難を得た方々と「健常」の人との間に横たわる分断は解消されたと言い切れないものがありますが、それと同じことは新型コロナ感染症の現場以外でも起こっているのではないかと心を痛めています。今、「心のケア」の必要はすべての人に向けられなければならない状況となった、と私は感じています。

私たちの法人は、60年を超える精神保健福祉の実践の中で、病者や障がい者への差別には一貫して反対してきました。誰かを悪者にして排除する考えに加担することはありませんでした。困難に直面しながら、回復に向けて懸命に生きようとする方への支援を自らの課題としつつ、今後も皆さまと一緒に実践を進めていく所存です。

 

 

最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。