アニマル-アシステッド・セラピー(その7)

動物介在療法が精神科病院に入院されている方に及ぼす影響について研究した実践論文に触れました。

Sikstrom L,Meyer T, et.al.:Increasing participation in research with therapy dogs: A qualitative study at a large urban mental health and addiction hospital.PLoS ONE 15(8): e0238096. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0238096

近年、様々な医療や精神科の現場において、動物と人間の相互作用、特に犬との相互作用がもたらす恩恵が文献的に確立されつつあります。 動物と人間の相互作用がポジティブな影響を与えるというエビデンスが増えつつあり、例えば、心血管系ストレスの軽減、 痛みの軽減、 気分の改善、 コルチゾールレベルの低下、 恐怖と不安の軽減、病院内での人間味あふれる雰囲気の創出などが報告されているそうです。

この研究は、臨床現場における患者の立場しある方の声の重要性を強調するために、北米最大の精神科・中毒科病院であるCentre for Addiction and Mental Health(CAMH)の患者さんと動物介在活動を共同開発することにおいて、病状などによって、協働活動に手の届きにくい人々を対象とした患者参加型の研究活動にセラピードッグを加えることの価値を調査したものです。

参加者は精神疾患の急性症状で入院していましたが、ほぼ全員がグループでのペットセラピーに対する好き嫌いを明確に表現することができました。その結果、セラピードッグの存在が、収集したデータの深さと質を向上させることがわかりました。セラピードッグは、研究者と参加者の間に生じている権力差(パワーインバランス)を緩和する緩衝材としての役割を果たしました。特に、セラピードッグは、ラポールを築いたり、共通の背景を見つけることが難しく、人々が心地よく感じることができないような環境において価値を発揮します。犬の年齢、性質、種類に関する会話である「ドッグスピーキング」は、参加者とラポールを築くことに役立ち、結果的に参加者から引き出される情報を豊かにしました。

また、筆者らは結論の中で、多様な医療現場において、治療やケアに関する研究に参加者を参加させるために、セラピードッグが効果的に使用できると述べ、また、参加者が自分の記憶とつながり、集中力を持続させることができる犬の能力は、臨床現場において、病歴聴取やデリケートな話題やトラウマ的な出来事について話し合う際に、セラピードッグが役立つ可能性を示唆している、としています。

 

 

 

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