枠組み外しの旅
- 2012.12.10
- 日記
山梨学院大学の竹端寛先生のご著書を読みました。
私たちの法人は、実践の歴史の中で、かつて「アルコール依存症はなおらない」と信じられていた時代にアルコール専門病棟を立ちあげ、その伝統は現在に至っています。今も、はたからは「できそうにないこと」に手をつけていると見られているかもしれません。「社会は変えられないのだから仕方がない」という意見はさまざまに聞こえてきており、常識と挑戦のはざまに身を置いていることを実感する時もあります。
そんな日々の中で、なにかにつられるようにこの本を購入して一気に読みました。中でも「社会を変えたい」というスタンスの中には自分が正しいという思い込み・矛盾があり、社会の「枠組み」を変えようと志すならば、まずはその前に、自分自身の変容という「個性化」が必要不可欠であるという記述には大きくうなづきました。つまり、社会を変えるには、その前にまず自分の思い込みを気づき、自分を変える勇気を持つことが必要なのだと思いました。
人の考えに自由を求めるのであれば、善悪の評価は存在しえず、意見の違う人を分かっていない人として値下げしたり、教育すべき人として学びを与えるような関係性からは相手を説得する論理しかでてきません。必要なのは「どうせ」「しかたない」の壁を越える必要があり、無理だ、できっこない、と決めつけている人を切り捨てたり、説得のために議論するのではなく、異なった背景や文化を持った人として「対話」をしなければならないのだと思います。
支援者の陥りがちな考え方には、それは私のかつての考え方でありますが、「力の衰えている人々に手を貸してあげる」「けなげに頑張っている人の願いを叶えてあげる」という「やさしい考え」があります。しかし、さまざまな人々との経験を積むことによって、この形を変えた支配-被支配の関係に影響された思い込みに気がついたとき、その思い込みを手放すことができるような気がします。そして自分の勝手な思い込みを手放すとともに、目の前の人がなぜそういった考えを持つにいたったのかを思い込みなく考え、知ろうとすることが、自分らしく生活をしていこうとしている人を応援するために、まず必要な事なのではないかと、あらためて思いました。
支援のしごとにもやもやを感じている方にお勧めの一冊です。
※ご購入に関してはこちらをご覧ください→http://www.seitosha-p.com/2012/10/post_196.html
最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。
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