なにも咲かない寒い日は

新春恒例の第86回東京箱根間往復大学駅伝競走をテレビで見ました。

プルシアンブルーのチームカラーで有名な山梨学院大学は健脚を揃え、復路も途中まで2位につけ、最後は少し順位を落としましたが見事に総合3位と大いに健闘しました。かつてこの大会で3回の優勝を経験した学院大でしたが、1995年以降は優勝はなく、2006年の総合2位の後は12位・6位・6位の成績となっており、復活快走には心が躍りました。

山梨学院大学陸上部監督は有名な上田誠仁氏ですが、氏の好きな言葉として

「なにも咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く。」

が有名です。

桜は一瞬の美しさを誇りますが、花びらが散ると、次の春のために葉を広げ、散らし、根を張ります。たとえ外側からは何も起こっていない枯れた木に見えているときでも、地面の下では根を広げていく努力が続いています。見えない地中には大きな岩盤が行く手を阻むかもしれません。目指す地下水系にはなかなかたどりつかないかもしれません。それでも、桜は「これ以上は無理」だとあきらめてしまうことはありません。あきらめるラインは自分で決めるものでなく、限界もまた自分で決めてしまえるものではないと上田監督は説いています。人間も花が咲いていない時にこそ、いずれ咲かせる花のために努力をしなくてはいけないのだ、と。

その時その時の自分ができることをこつこつとやり続けていく。目立たなくても日々続けていく。人のせいにせず、受動的でなく、自分の人生の主導権を持って生きる。箱根路をつないだ襷の中には、そこには立てなかった多くの人々が伸ばした根に支えられた花が咲いているのだと思いました。



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