PIPC

PIPC(Psychiatry In Primary Care)PIPCは、内科医が内科医に内科診療の現場における精神科疾患の診かたを伝えるセミナーです。米国内科学会総会で2002年より行われている教育プログラムに改変を加え、昨年より日本に導入しました。精神科に関する基礎知識がゼロの状態の受講Dr.が、受講翌日から心療内科診療に一歩を踏み出せるようにデザインされています。
内科医が精神科医になるための訓練ではありません。自分の専門領域の中で精神科的対応を適切に行えるためのプログラムです。(PIPC研究会HPより抜粋)

メンタルヘルスケアにおいては、プライマリケア医の先生方がうつ病診療や自殺予防対策推進のための地域の最前線に立つゲートキーパーとしてご尽力をいただいています。プライマリケア医と精神科医とが連携して診療を行うことの必要性は広く共有されていますが、実際には様々なバリアがあるといわれています。たとえば、

第1の壁:心療に対する怖れ
第2の壁:精神医療に対するスティグマ
第3の壁:いつ、誰に紹介したらいいのかわからない
第4の壁:精神科外来の受診予約が取れない      などとされています。

従来は精神科医の方が精神医学的知識を豊富に持っており、メンタルヘルスの困難を持つ患者様についてより良く知っている、という前提によって「精神科医がプライマリケア医師を指南する」という連携システムをとってきました。でも、本当にそうなのでしょうか?プライマリケア医は担当されている患者様の精神疾患以外の疾病やさまざまな事情を知っているので、実際には双方の医師のそれぞれの専門性や強み(ストレングス)、臨床経験をシェアしてお互いに臨床実践家として知恵を出し合うスタイルが必要になってきているのだと感じます。

日本でも2007年からPIPCプログラムを活用した教育セミナーがPC医自身の手により企画運営されて、全国各地で成果を上げているそうで、日本版PIPCセミナーやPIPCメーリングリストでは精神科医たちがスーパーバイザーとして参加し、地域のなかで実践する精神科診療や自殺予防対策などについてプライマリケア医と精神科医が同じ目線の高さで「ともに考える」というスタイルをとりはじめました。

山梨でも響ストレスケアの大橋昌資先生を中心に、うつ病をお持ちの方のリワークからPIPCについてともに学んでいこうという動きがあり、私も勉強していきたいと感じます。

PIPCに関する詳しい情報はPIPC研究会のホームページをご参照ください→http://www.pipc-jp.com

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。