地域医療学フィールド研究実習報告書

先日、私の手元に山梨大学医学部地域医療学講座/地域医療連携支援学講座による「平成23年度山梨大学医学部地域医療学フィールド研究実習報告書」が届きました。

このフィールド研究は、医学部4年時の学生の方々を山梨県の医療に関連する様々なテーマを5~7名のグループにそれぞれ与え、問題点を抽出し、その問題点について制限を加えることなく自由に考えて論文的にまとめ、学会的に発表会を実施するというものだそうです。毎学年ごとに地域医療学実習がカリキュラムとして組まれており、県の医療状況を学部学生が体験し関心を持つ機会を増やす教育の「継続」の一環と、講座教授でいらっしゃる佐藤弥先生の巻頭のお言葉にありました。

グループ5の皆さまの選ばれたテーマは「山梨県の精神医療の問題と対策」でした。グループの皆さまは大学病院精神科医局の諸先生方から学びを得るとともに、弊法人病院を訪問していただき、現状を体感していただくとともに不肖私の話をお聞きいただきました。

立派な報告書になった成果物には現状問題点の抽出と改善提案がまとめられていました。

【山梨県の精神医療の抱える問題点】
 ・精神科医の数が足りない
 ・精神科医の診療点数の低さが医療の充実の妨げになっている
 ・患者さんの社会復帰をサポートするシステムがない病院が多い

【改善提案】
 ・医学生・研修医に精神科について知ってもらう機会を増やすこと
 ・精神科の治療の中で最も重要となる医療面接の点数を他科よりも高く設定すること
 ・病院とは別に社会復帰をサポートする社会福祉システムの構築が必要であり、そして
  何より社会全体として精神科患者さんに対しての偏見を持たないことが大切である

医療現場で感じていること、多くの人にわかっていただきたいことが同じ医学の道を目指す未来の仲間の皆さまにご理解いただけており、心にくるものがありました。市中の単科精神科病院に職を置く身の1人として、自分たちが社会に貢献できること・・・アルコール依存症などのアディクション医療に力を注ぐこと、精神的困難を得た方々が回復し、社会でその人らしく暮らしていけるようになるための支援、そして、精神科の病を得た人が回復していくことができる、ということをメッセージとして伝えていくことについて、ますます頑張っていこうと励まされた気がしました。

*山梨大学医学部地域医療学HP→http://www.med.yamanashi.ac.jp/medicine/community/

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。