障害者総合福祉法への骨格提言

さる8月30日、内閣府の「障がい者制度改革推進会議」の総合福祉部会は「障害者自立支援法」に代わる新法「障害者総合福祉法」(仮称)に関する提言案「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言―新法の制定を目指して―」(以下「提言」)を了承しました。
これは国連の障害者権利条約と、障害者自立支援法違憲訴訟原告らと国の基本合意文書を土台にして作成されたものです。

「提言」では、「利用者負担」について、障がい害に伴って必要になる支援は原則無償とする一方で、高所得者に対しては、収入に応じた負担を求めるようになりました。また、障がい者福祉の従事者の年収が全国平均賃金以下にならないよう「事業者が適切な水準の賃金を支払う」こと、「事業報酬体系を法的に構築する」ことを実現すべきとしています。

また、法上の障害者の定義を「心身の機能の障害があるもので、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」とし、機能の障害を「慢性疾患に伴う機能障害を含む」と規定しました。

さらに、支援の支給決定については、障害程度区分は使わず、支援を必要とする障がい者ご本人の意向などを最大限尊重することを基本としました。そして、障がい者であるか否かの確認は、医師の診断書だけでなく、専門的な知識を有する専門職の意見書でも可能としました。

そして「提言」は、次の6つの目標を「障害者総合福祉法」(仮称)に求めました。

1.障がいのない市民との平等と公平
2.谷間や空白の解消
  障がい種別間の谷間や制度間の空白の解消を図る
3.格差の是正
  どこに暮らしを築いても一定の水準の支援が受けられれるよう、合理性を欠くような格差
  について是正をめざす
4.放置できない社会問題の解決
  多くの精神障がい者の「社会的入院」、知的や重複障がい者等の長期施設入所問題や
  介助の大部分を家族に依存している状況を解決するため、効果的な地域移行プログラム
  を実施する。
5.ご本人のニーズにあった支援サービス
  個々人の障がとニーズが尊重されるような新たな支援
6.安定した予算の確保
  財源確保について広く国民からの共感を得ながらOECD各国の社会保障給付体系との
  財政状況の比較を行うなどしながらOECD加盟国における平均並みを確保する。

「障害者総合福祉法」は、2013年8月までに障害者自立支援法を廃止し、施行することが閣議決定されています。

「提言」内容はこちらからダウンロードできます→http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2011/08/0830-1.html

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