うつ病をお持ちの方のリワーク

厚生労働省の平成20年患者調査によれば、うつ病の総患者数は104万1,000人で、ついに100万人を突破したとされています。

薬物療法の進歩などとあいまって、現在ではうつ病により休職した方が復職すること自体は、そんなに珍しいことではなくなっていると考えられています。それでも、再発・再休職してしまう方が多いことが問題にされるようになりました。その理由の一つとして、病をお持ちの方ご自身と主治医が「復職可能」と考える状態と、職場が復職OKと考える状態との間にかい離があるのではないかという指摘がなされています。

そのような中で、うつ病リワーク研究会代表世話人でいらっしゃるメディカルケア虎ノ門の院長・五十嵐良雄先生のご講演をうかがう機会を得ました。

五十嵐先生のお話では、うつ病などで休職している方の主治医の精神科医が困ることとして、5割以上の精神科医が「復職の判断が困難」「復職してもすぐに再休職する」と考えていることがわかったということでした。復職を焦るあまり、ご本人の申告が実態とかけ離れたものとなる場合が少なくないことが原因の一つと考えられ、精神科医の考える復職可能のレベルが精神症状の改善であるのに対して、雇用主が考えるそれのレベルは実際に通常の勤務がおこなえるというもので、大きなギャップの結果、再休職に至ってしまうとのことでした。
自宅での休養が長すぎるのは生活リズムを整えていく上では良いことではなく、五十嵐先生は生活アドバイスとして午前中の図書館通いと午後の運動を奨励されるそうです。早い段階から通勤訓練(通所)を行うことで規則正しい生活リズムを作り、短時間でも仲間と共に集団の中で基礎体力を高めたり、グループワークを行うことで、無理なくリハビリを開始することができるということでした。

同日の一般演題では、山梨県内で唯一の復職支援に特化したプログラムをお持ちの響ストレスケアの院長・大橋昌資先生もご発表されていましたが、お二方ともに「うつ病は励まさない、はすべての時期には適応できない」とお話しされていました。うつ病の初期は休養第一で薬の効き目が徐々に広がっていくのを暖かく見守る時期ですが、その後の少しずつ負荷をかけて行く時期には表面的ではない励ましが必要とお考えのようでした。

多くの方に出会うことができ、有意義な会合でした。

※最初にアップした内容について、聞き取りから不正確な記述をしてしまった部分があり、関係の
 皆さまにご迷惑をおかけいたしました。訂正して再アップさせていただきました。申し訳ございま
 せんでした。
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