元気回復行動プラン

精神障害をお持ちの方へのアプローチとして、心理教育だけではなく、リカバリーの概念を利用した方法が提唱されています。

それがWRAP(Wellness Recovery Action Plan)です。日本では「元気回復行動プラン」と訳されています。

WRAP はアメリカで Mary Ellen Copeland さんを中心にアメリカの当事者たちが開発したプログラムで、毎日楽しく元気に過ごし、働くことも含めた自分の目標(リカバリー)に向かって前進できるよう工夫されたものです。わが国においても、久留米大学を中心にして最近紹介されはじめている自己管理とリカバリーのためのツールです。

WRAP は次のプランから成り立っています。
 ・元気に役立つ工夫(Wellness Toolbox)
 ・日常生活管理プラン
 ・引き金になる出来事・それに対処するプラン
 ・注意サイン・それに対処するプラン
 ・調子が悪くなってきている時・それに対処するプラン
 ・クライシスプラン(緊急状況への対応)
 ・緊急状況を脱した時のプラン

ですが、元気が必要なのは当事者ご本人だけではありません。多職種からなる支援チームにだって元気は必要です。先日は、専門職向けのワークショップで「チームが元気でいるためのプラン」を作りました。

【チームが元気でいるためのプラン】

 1.チームが「良い状態の時」はどんな状態?
   オープンな会話 活発な表現
   情報の共有   肯定的な雰囲気
   笑顔
   <「良い状態」を保つ工夫>
    ☆毎日やると良いことのリスト
     個人の健康管理 雑談
     あいさつ
    ☆時々やると良いことのリスト
     誕生日会  他の職種を経験してみる
     業務管理  ボランティア活動
    ☆年に数回やると良いことのリスト
     第三者評価を受ける  学会発表
     利用者を讃えるイベント  旅行・合宿
     新しいチームメンバーの加入

 2.チームが「ちょっと困った状態」になったときのサイン
    沈黙 悲観的  チームリーダーへの依存
    情報提供ができない ミーティング欠席・遅刻
    視線が合わない   ミーティングで特定の人だけが話す

 3.そのようなサインが出たときに、すると良いことリスト
    インフォーマルな場を作る  自分でやれることはやる
    振り返り    大きな規模のカンファレンス
    個別に相談されたことを全体には持ち込まない
    失敗OK(=チャレンジ)の雰囲気

どこの組織でも多職種チームのところは同様の悩みがあるのだと、ほっとし、また、思いつかなかった解決策が耳にできたことがとても収穫になりました。このワークの中で、スタッフチームが元気でいるためのアクションプランをすすめるためのキーワードが出来上がりました。

スタッフが元気でいるために大切なのは なやかさ・こやかさ・りげなさ  の 3S です

Copeland さんが今月来日されて、WRAPの講演会が開催されます。詳しくはこちらをご覧ください。→http://comhbo.net/archives/63

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(wrote:財団法人 住吉病院