エビデンスに基づく実践

私たちが精神医療・保健・福祉サービスをご提供していく際に重要なのは「エビデンスに基づく実践を行なう」ことだと思っています。

エビデンスとは、その実践を行うことで有効性があることが検証されている ことと考えています。もちろん、エビデンスには広く行われている実践もあれば、その方への支援において「過去に有効だったことがわかっている」ろいうレベルのものもあるでしょう。

薬物治療においては、この考えはかなり浸透しています。新しい薬を開発する際には臨床試験を通じて、薬の有効性が吟味され、また、各種の薬物治療ガイドラインが開発されているわけです。ようするに、「なぜ、このサービスを行うのかを説明できる」わけです。これと同じようにサービス提供全般についても考える、というのが最近の潮流だと考えています。

アメリカでは、1998年に RWJ Conference on Evidence-Based Practices (EBPs) という会議が行われて、「重症の精神疾患をお持ちのへの科学的根拠(エビデンス)に基づく実践とは何か」が話し合われ、以下のサービスがエビデンスのある実践と定義されました。

●包括型地域生活支援 Asseetive Community Treatment(ACT)

●援助つき雇用 Supported employment (SE)

●薬物依存と精神疾患治療の統合 Integrated dual disorders treatment(IDDT)

●病気の自己管理とリカバリー Illness management and recovery (IMR)

●家族心理教育 Family psychoeducation (FPE)

●精神科薬剤治療管理アプローチ Medication management approaches in psychiatry (MedMAP)

当方人でも、いくつかのサービスにはすでに取り組み始めていますが、これらの実践が有効性を保障されたものであるというためには、フィデリティ(プロトコルの遵守)が求められます。しかし、逆に言えば、フィデリティを守ることによって良質のサービスを提供する手順がはっきりしているとも考えられます。

私は、私たちの目指す理念を目指すためにエビデンスに基づいた実践を行いたいと考えています。できるだけ早い機会に、スタッフ同士が学ぶための研修会を開催したいと考えています。