精神障害者の雇用を成功させるために

国立にある一橋大学において開催された社会福祉法人多摩棕櫚亭協会様ご主催の厚生労働省社会福祉推進事業報告会「精神障害者の雇用を成功させるために」に参加してきました。

   

第1部は「雇用継続を可能にする新たなスタンダードモデルの提言」でした。

最初に(株)クオリティサポート 代表 の岡橋生幸様より”調査研究概要”のご説明があり、その後に<研究報告>がありました。

 「精神障害者の就労支援者育成に有効なツール作成事業」のご報告では、まず就業・生活支援センターオープナーのご担当者様から就労先ツールとしての面接シート/紹介シートのご紹介がありました。

障がいをお持ちの方の雇用を推進するためのパートナーとしての企業様サイドからも株式会社いなげや様の人材開発部ならびに株式会社リクルートスタッフィング様の障がい者雇用推進室のそれぞれのご担当者様からのコメントもあり、支援者視点からのアプローチで見落としがちなさまざまな点をおさえておくことの大事さがわかりました。

さらに、就労移行支援事業所ピアス様/分場トゥリニテ様のご担当者様より就労支援事業所ツールとして職業準備性チェックリストのご紹介がありました。このチェックリストはピアス様での実践の中から造られたものとの事です。1998年に導入された「ピアス自己チェックリスト」から2002年に障害者職業センターの職業準備性リストを経て2007年に「厚生労働省の就労移行支援のためのチェックリスト」を参考にして整理するという、年月に磨かれた支援ツールだそうです。ピアスの利用期間2年を有効に使うために、ご本人の職業準備性を高め、支援者にはその職業準備性を正しく見極められるようなツールとして利用ができると思われました。

第2部は「精神障害者が働きやすい職場とは」でした。2名の方のご講演を拝聴しました。

株式会社トーメンエレクトロニクス 商品管理室長岩村康司様のご講演では、「精神障害者雇用後の職場内メンタルヘルス」にて
  ・体調不良は本人しかわからない
  ・障害者は特別な待遇は求めていない
というご発表が心に残りました。

秦コンサルティングオフィス 代表 秦 政様のご講演では「精神障がい者活用のポイント」にて
  ・コンディションが悪いときのルールを用意しておく
  ・配慮は必要、されど特別扱いは禁物
が印象的でした。さらには個人的には、次の一文が気になりました。

主治医との連携が必要だが現実的ではない

主治医との連携が必要だが、「連携することが現実的ではない」なのでしょうか。それとも、
主治医との連携が必要だが、「主治医が現実的ではない」なのでしょうか。言葉とはさまざまな捉え方ができるので、この一文は深い意味を含有しているように私は受け取りました。でも、医師は大学では「働くこと」の授業は受けてこなかっただろうし、未来を映す水晶玉も持ってはいないのですから、仕事について医師が企業様の方より良く知っている、ということはないに決まっており、それを相互に理解しあったうえで連携することが重要と感じました。

会を通して感じたのは、「熱は熱を呼ぶ」という、働くことを応援する人たちの会合でいつも私が感じる余韻でした。なんだかいけそうな気がしながら、帰路につきました。会で出会わせていただいた皆さまと、主催をされました棕櫚亭協会スタッフの皆さまに厚くお礼申し上げます。

   

なお、今回のご報告に関する各ツールは多摩棕櫚亭協会様のホームページhttp://www.shuro.jp/よりダウンロードが可能だそうです。皆さま、一度お立ち寄りになってはいかがでしょうか。

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

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(wrote:財団法人 住吉病院