通訳で伝わるものは希望

先日、くらしえんくらしえん・しごとえん様主催の2012年度第1回職場適応援助者養成研修の講師として同僚とともにお招きいただき、研修の1コマ「障害特性と職業的課題(精神障害)」の話をさせていただきました。

 

今回は、聴覚によるコミュニケーションにサポートを利用される方が聴講されていました。通常よりもスライドの文字数を多くして、見ることでメッセージが伝わりやすくするように改変をして臨んでみましたが、その方のそばには「手話通訳」の方が2名座っておられてサポートをされていました。

私の講演スタイルはスライドを読み上げる方式ではないのですが、ついつい話があちこちに飛んでしまい、つまらない冗談も言ってしまうので、お二人のサポーターには大変ご迷惑をかかえてしまったと思います。しかも時間に追われて早口でした・・・

 

ひょっとすると、その方は聴覚に関する特性があっても「支援をする人になる」と決めて研修会にご参加されたのかもしれないと思います。支援をする立場の職につく人にもサポートは必要なのは当たり前のことだと思いますが、私はともすると「支援者は一人でいろいろできないと・・・」と思ってしまいがちでした。それが、今回の研修会で、自分のやりたいことをやるために適切なサポートを受けることの権利が人にはある、ということをあらためてはっきりと知ることができて、私はまた一つよい経験をいただきました。そして、誰かを応援することのなかで、「人と人とをつなぐ」コミュニケーションのサポートのできる通訳者の方のありがたみもまた新たな気持ちで感じました。

自らの経験を活かして支援をすることを目指すことはメンタルヘルスでも、漢字や数字などに関する認知機能の異文化にある方も、視覚や聴覚や身体の分野でももっと普通に取り組めるようになるといいのではないか、と感じました。異なったコミュニケーション方法を持っている人たちをつなぐ仕事としての通訳の方々、あの人たちがつないでいるのは言葉ではなくて、それぞれの人のパトスと希望なのではないかと思いました。

ただ、臨床の場面でも最近、手話通訳のサポーターの方と巡り合うことがあったのですが、その方も頚腕症候群に悩んでおられたことを思い出しました。この症候群は手話通訳者の職業病ともいわれるものです。発達障がいという特性をお持ちの方へのコミュニケーションのとりかたや統合失調症という文化を生きておられる方とのコミュニケーションの取り方に、私は配慮をしているつもりなのですが、手話文化の方々とのコミュニケーションにも合理的な配慮ができると、もっとよい交流ができるのだと感じました。そして希望をつなぐ方々にもっと感謝を伝える機会が増えることを願っています。

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。