リカバリーとは

私たちの活動についてのキーワードはリカバリーだ、ということを以前お伝えしたと思います。

リカバリーは英語で書くとrecoveryとなりますが、これを辞書で引いてみると「回復」と書いてあります。パソコンや災害でのライフラインからのリカバリーであれば「元の状態に復旧する」ということになるでしょう。病気を治療するという医学的な見地からすれば、これは治癒という概念に相当すると思います。

しかし、病気の中には、なかなかよくならないものも少なくなく、進行性ではなくても再発しやすい病気もあるわけです。そういった病をお持ちの方にはリカバリーはないのでしょうか? また、精神障がいのように、元のところに戻ることは、もう一度病気になったストレスにさらされることを意味する場合、元通りがになることがその方にとって本当に良いことなのか、疑問になることだってあると思います。

住吉病院の私たちが、長年アルコール依存症に関する活動を続けていく中で知ることができたのは、

「リカバリーとは、ひとたびは病を持った方が、その人にとっての希望、権利、社会的な役割や人として尊重されることなど、障がいによって失われていたものを取り戻すこと」を意味する

のだということです。

単に今ある状況を消し去るのではなく、また、それを仕方がないこととあきらめて、なるべく悪化させないように、現状を維持していくことよりも、今よりももっと質の高い人生が送れるようになることがリカバリーなのだと思うようになりました。

アメリカにおいても、2003年に、「精神保健に関する大統領の新らしい自由委員会」The President’s New Freedom Commission on Mental Healthはその報告書のなかで精神保健システムの変革を推奨し、リカバリーこそが合理的な目指すべきゴールであることを確認しています。

私たちは、それぞれのリカバリーを目指して活動していくつもりです。

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(wrote:財団法人 住吉病院