個人的視点による2020年の10大ニュース

皆さま、今年も大変お世話になりました。未曽有の事態となった今年、弊法人はさまざまな活動の停滞を余儀なくされましたが、2020年1年を振りかえって、個人的に選んだ10大ニュースを発表させていただきます。

1.新型コロナウィルス感染症に世界が震撼
  昨年末頃に中国・武漢から報告されていた新型コロナウィルスCovid-19は
  今年1年、世界中で猛威をふるい、12月30日現在の感染者数は全世界で感染
  者: 81,950,951人 死者: 1,789,908人を数え、わが国においても感染確認者:
  226,596人、死者3,349人となっています。様々な国でロックダウンが繰り返
  し行われ、マスメディアの発信により買い占めが行われたり、懸念されてい
  た医療崩壊が現実のものとなり、世界の様相は文字通り一変してしまったと
  いってよいでしょう。現在の第3波をどう乗り越えていくのか、知恵を出し
  合わなくてはなりません。

2.相模原殺傷事件の被告に死刑判決
  2016年に相模原市の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」で入所者19人
  職員2人を含む26人に重軽傷を負わせたとして、殺人・殺人未遂罪などに問
  われた元施設職員の植松被告に対して横浜地裁は死刑を言い渡し、控訴は被
  告が取り下げ、判決が確定しました。被告が持っている弱者に対する差別や
  偏見、優生思想については、決して特殊な考え方ではなく、一般の人々の間
  においても新型コロナ感染症の流行を機に先鋭化しているという指摘があ
  り、この重たい事件について私たちは他人事であると考えたり、忘れ去らな
  いようにしなくてはなりません。

3.東京オリンピック/パラリンピック延期
  世界中に広がる新型コロナウィルスにより、東京オリンピック2020は2021
  年7月23日開会8月8日閉幕の日程に延期となりました。パラリンピックは8月
  24日から9月5日まで行われる。組織員会はあくまで開催としていますが、い
  ったいどのようにすれば開催ができるのか、まだ不透明です。

4.マスクとキャンディのご寄付をいただく
  感染症でマスクやアルコール製剤などが市場から消えた時期に、政府は国民
  に2枚ずつ布マスクを配布するという政策をとりましたが、精神科病院にご
  入院されている方の手元には届かないことが多いという状態でした。関西に
  あるボランティアグループの方にお呼びかけいただいて、多くの方から入院
  中の方にマスクのご寄付をいただきました。サポートハウスとびらで一人ず
  つに梱包して、入院しておられる方皆さんに配布されました。同じころ、医
  療にたずさわるスタッフへの激励として東京の有名キャンディ店パパブブレ
  さまからキャンディ500袋、また、ヤクルトさまから職員1人あたり7本の
  ヤクルト1000など、さまざまな方々からご寄付をいただきました。心より感
  謝申し上げます。

5.法人創立65周年
  住吉偕成会は、11月16日に65回目の創立記念日を迎えることができました。
  1955年(昭和30年)のこの日に、創設者有泉信先生が甲府市の田んぼの中に
  50床の精神科病院である財団法人住吉病院を開設以来、続く者たちは有泉信
  先生のお言葉にある患者優先の運営方針を貫き、法人理念として
  ・精神障害者の社会復帰の促進をとおして、社会に貢献する。
  ・基本的人権を尊重し、人間愛をもって利用者及びその家族等に接する。
  ・地域の精神医療をはじめ、精神保健福祉活動等にも積極的に取り組む。
  を引き続き推進してまいります。

6.ヴァンフォーレ甲府J1昇格ならず
  疫病まん延下での変則的な日程で行われたJ2リーグ戦でしたが、われらが
  ヴァンフォーレ甲府は最終成績は勝ち点65・16勝17分け9敗で4位となり、
  プレ―オフのない今年のレギュレーションでは、昇格はできませんでした。
  負け数は少ないのですが、勝ちきれない試合が多く、3位との勝ち点差は15
  で、得点50/失点41で得失点差9では、昇格を逃すのはやむなしといった年
  でした。来年にまた期待します。

7.緊急事態宣言発令
  新型コロナの感染拡大防止のため、政府は全国の小中学校や高校などを3月2
  日から春休みまで一斉休校とするよう要請しましたが、その後4月7日以降に
  は全国に緊急事態宣言を発令しました。山梨県でも県民に外出自粛が要請さ
  れるとともに飲食店や商業施設など娯楽施設に休業が要請されました。行楽
  地や繁華街からは人が劇的に減りました。
  学校の休校は長いところでは3か月に及び、多くの大学ではネットを通じた
  オンライン授業を行われました。多くの学校で、行事や部活動が変更や中止
  となりました。
  個人の権利を大幅に制限する緊急事態宣言でしたが、その後の新型感染症流
  行の第2波・第3波では、より強い行動制限を望む声も聞かれるようになりま
  した。

8.ピアサポート講座開催
  長年、ご本人の方の企画によるピアサポーター養成研修を行いたいと思って
  おりましたが、サポートハウスとびらでは、今年11月にその第一弾としてピ
  アサポート講座を開催しました。
  これまで、10年近くにわたってピアサポート講座等を開催されておられる聖
  学院大学相川章子先生を講師に迎え、ご一緒に幅広く活躍されておられるフ
  ァシリテーターお二方もお迎えし、「リカバリーってなんだ?」、「ピアサ
  ポートってなんだ?」などについて考え、学びを深めました。14人の参加者
  があり、人と人とのつながりが広がっていく会だったと思います。

9.精神医療国家賠償訴訟
  今年9月、国が精神障害者に対する隔離収容政策を改めなかったことで地域
  で暮らす機会を奪われ、約40年の長期入院を強いられたとして、元入院者の
  方が国に対して3300万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴しました。国家賠
  償請求権とは、公務員の不法行為により損害を受けた場合に、 国または公
  共団体にその損害の賠償を請求できる権利で、かつてハンセン氏病をお持ち
  の方々が国の隔離政策に対して国家賠償請求訴訟を行い、「らい予防法廃
  止」に尽力された際になされた訴訟とほぼ同じ法理論による今回の提訴だと
  思います。つまり、今回の訴訟は不作為責任の追及であり、ようは「(世界
  の現状との比較などをしたうえで)やるべきことをやっていない」精神医療
  行政について問うものかと思います。今後を見守りたいと思います。

10.将棋の藤井聡太七段、最年少タイトル
  7月に藤井聡太七段が棋聖戦五番勝負で渡辺明三冠に勝利し、タイトルを獲
  得しました。若き天才と称される藤井七段は17歳11か月での戴冠で、最年少
  記録となりました。8月には王位も獲得して史上初の「10代二冠」を達成し
  ました。これはこれまでの羽生善治九段のもつ最年少二冠の記録(21歳11か
  月)を大幅に塗り替えたもので、同時に八段昇段の最年少記録も樹立しまし
  た。今後間違いなく一時代を築く棋士と思われます。

次点:はやぶさ2のカプセル帰還
  12月に日本の小惑星探査機「はやぶさ2」から分離されたカプセルがオース
  トラリアの砂漠に着地し、回収されました。6年がかりで地球と小惑星リュ
  ウグウの間約52億キロメートルを飛行し探査ミッションを達成し、わが国の
  の宇宙探査の技術力を世界に証明した形になりました。回収されたカプセル
  内には小惑星から採取された石や砂が確認され、今後の解析で太陽系の誕生
  についての新たな発見が期待されています。

パンデミックに始まり、パンデミックにくれた2020年でした。人と人のつながりの大切さを再認識する1年でしたが、新たな年は少しでも希望が持てる年になってほしいと願っています。

 

  

最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。