ハンセン氏病の歴史からの宿題
- 2020.04.29
- 日記
「らい予防法」廃止に大きな功績を残された大谷藤郎先生が「藤楓だより」(1990年)にかかれた文章です。
「かつてハンセン病がああいうふうに膿、ただれから不治というひどい状態で苦しまれていたときと、いまのようにきれいに治ってしまうというときとでは、状況が違ってきて、かつて古い昔の人には偏見・差別から迫害まであったのが、今はだんだんなくなり、忘れ去られようとしている。
しかし、それは医学的に病気がなくなってきたからであって、偏見差別に対する心の闘いがあってそれに打ち克ったからではない。だからたとえば、エイズの人が出てくるとか、新しい恐ろしい死に瀕する病気が出てきたときに、人間というものはそれに対して昔と同じように偏見、差別が出てくる心配があります。現在の日本人においては、昔のように迫害はしないけれども、自分にはかかわりのないことである、だから関係者が適当に隔離か収容かなにかやってくれ、といってお金でも負担するのかというと、いまの税金問題でも見られるように、お金を出すのも嫌だということです。
そういう人間のエゴイズム的な本質というものが改善されない限り、法律改正はハンセン病そのものについては確かに一歩前進ではあるけれども、偏見、差別に対する人間としての反省が伴わないとかつてのハンセン病と同じようにエイズのような病気が出てくると再び同じ過ちが生まれてくる。そういうものに対して本質的によくする運動というのを(「らい予防法」の」)法律改正にあわせてすすめなければいけないのではないかということです。」
あれから30年後を生きている私たちは、先送りにしてきたこの宿題への回答を提出する必要があります。
最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。
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