とびらオープニングパーティまであと3日
- 2019.07.03
- 日記
弊法人の新部署「サポートハウスとびら」のオープニングパーティまであと3日となりました。
日時:令和元年7月6日(土)
12時30分受付開始、13時開始、16時30分終了予定
場所:公益財団法人住吉偕成会 住吉病院
旧アルコールセンター2階会議室
内容:特別講演 NPO法人ポプラの会様
記念講演 NPO法人こらーるたいとう様
シンポジウム「ピアサポートを広げるために私たちは何をしたら
よいのか」
サポートハウスとびらのブログはこちらから→https://supportobira.blogspot.com/
「サポートハウスとびら」と病院の関係
ピアサポートハウスとびらは、法人の中では「住吉病院」にも「リカバリーセンター」にも属していません。つまり医療でも福祉でもない部署であり、広報や企画・権利擁護など、これまでの法人では十分に機能していなかった活動を担当していきます。大切にしているのはピアサポートの考え方で、肩書や上下関係をできるだけはずしたいという考えから、従来の医療や福祉の構造のない組織になりました。コアスタッフは専従も兼任も全員がメンタルヘルスサービスの利用経験者となっています。とびらには専門職の上司はおらず、理事長の直接の部署です。病院長との組織上の関係はなく、私と事務長はサポーターとして見守る立場です。
どうしてそのような組織になったかを「リカバリー期成会第2期」委員長としてご説明します。その理由としては、アメリカで精神的困難の経験を持つ人たちによるピアサポートがメディケイドの給付の対象となりつつあり、わが国でも「ピアサポーター」が病院や施設で雇用されるようになるなどの社会の動きがあります。そして本来は医療や福祉の枠組みの外側にあるべきピアサポートが、治療や福祉の枠組みに入ると、そこにはサービス提供者と利用者、あるいはまた雇用主と労働者という上下関係が生じやすくなるのではないかという危惧を回避したいとの考えによるものです。
リカバリー志向を広げようとする人たちの中には、「ピアの人」が専門職化されることを求めて活動している方もおられ、その考え方を私は否定しません。ただ、私の大好きなWRAPについての経験をお伝えすれば、私はWRAPのことを「価値と倫理」によって一人一人が自分のことを自分で決め、それが尊重されることを大切な文化としてとらえていて、それは生き方の一部であって治療そのものではないと考えています。私たちはいっとき医療の場面であるデイケアでWRAPグループを開いた時期がありました。アメリカでもWRAPはメディケイドの給付の対象、つまり「治療プラン」のなかに位置づけられる場合もあるそうですが、私たちはピアサポートの場であるWRAPを病院のプログラムとして行う事について、「何か違う」と話し合い、現在はよんもくWRAPとして独自の活動を行っています。同じようにピアサポートを大切にしている「サポートハウスとびら」は病院の組織でないことが重要と考えていますし、リカバリーにおいて大切なアドヴォカシーについては、病院や施設の外側から、法律の視点も取り入れて活動する必要性があると感じています。
もう一つ。アメリカにおいても認定ピア・スペシャリスト(Certified Peer Specialist:CPS)のトレーニングが拡がりはじめ、日本でもピアサポート専門員の研修が行われはじめました。私の仲間も何名かは参加しましたがピアサポートが専門職の誰かの指導のもとで行われることの違和感がありました。
IPS援助付き雇用の実証研究の一つでは「ピア・プロバイダー」(プロバイダー=サービス提供者)を「精神障害から機能的に回復しており、自分自身が精神保健サービスを受けており、精神保健プログラムによって雇用されて、専門職の職員の傍らで働いている人たち」と定義して「ケース・マネージャー補助業務」と「入院しているコンシューマーを外来サービスにつなぐ、地域での補助業務」を担当するということにしています。このピア・プロバイダーが組織にいる方が組織としての成果は良いという結論をこの研究は導きましたが、精神的困難の経験を理由に「補助的な仕事」に特化したこのような雇用体制について私たちは疑問を感じています。私たちの法人の就業生活支援センタ―では「ピアの人」としての雇用はしていません。
誰かの行う仕事が「ピアサポート」になるということは、その人のもつ特性や立場に基づくのではなく、人と人との関係性によって規定されると私は思います。一人で座っているだけで定義されたりするものではないと考えます。
サポートハウスとびらでは「ピアの人」という立場のスタッフはいません。たしかにとびらには「ピアサポート専門員」の研修を受けたスタッフはいますが、その研修を受けていないとびらのスタッフも、研修は受けたけけれどもとびらのスタッフではない人も法人にはいます。そもそも法人では「ピアスタッフ」という職務内容で規定された雇用関係にある人はいません。カルテを書くことや一定の治療プログラムの援助をすることや向精神薬の服用を勧めることは、パワー格差や、本当の自己決定を阻害している可能性があり、それらは私たちが「ピアサポート」と呼んでいる関係性と相容れないように思います。
「ピア」という存在は、支援側の作った小さな枠組みに適合して、支援側の物の見方で活動することのできる人たちだけによって成り立っているという考えであれば、その結果はこれまでの考え方の枠をこえることはできないでしょう。
それぞれの立場の人が、そのやりたいことをやるための知恵を出し合うために、お互いがサポートしあう、そして人は「誰でも適切な機会さえあれば、自分の課題を自分で解決することができる」というピアカウンセリングの精神にのっとって活動して行くことをサポートハウスとびらには期待しています。
最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。
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