精神保健福祉法改正案

厚生労働省は「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」ならびに「これからの精神保健福祉のあり方に関する検討会」の報告書を基にして、精神保健福祉法の改正案を提出し、さる2月28日に閣議で決定されました。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000152270.pdf

神奈川県相模原市の障害者施設で19人が殺害された凄惨な事件を踏まえ、犯人が措置入院歴のある人物であったことから、措置入院者の退院後の継続的支援を自治体に義務付けることなどを盛り込んでいます。

医師や福祉サービスの事業者、本人・家族などと協議して措置入院中から退院後の支援計画を作ることが都道府県や政令市に求めています。また、入院中に「生活環境相談員」を選任させて退院後も該当者の住む自治体が計画に沿って必要なサポートを行うことをルール化しました。本人が別の地域に引っ越しても、転居先の自治体にこの体制は引き継がせるとされています。
厚生労働大臣は法改正に関する会見で、「精神障害者に対する継続的な支援を医療と福祉の両面からしっかり行っていく。それを通じて同じような事件が二度と起こらないようにしたい」と表明しています。

厚生労働省「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案の概要」
http://www.jngmdp.org/wp-content/uploads/9de8825ddb8346aabaa843afdf9abb1e.pdf

このことに関し、いわゆる「予防拘禁」ではないかという懸念をあげる声を多く見聞きしています。私が所属する日本精神神経学会では、以下の強い懸念を表明しています。(以下引用)

「今回の改正法案上程に先立って平成29年2月に厚生労働省が示した「精神保健及び精神障

害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案の概要」には、今回の改正についてその趣

旨と概要がまとめられています。そして、留意点として医療の役割に言及されているもの

の、趣旨の冒頭には「相模原市の障害者支援施設の事件では、犯罪予告通り実施され、多

くの被害者を出す惨事となった。二度と同様の事件が発生しないよう、以下のポイントに

留意して法整備を行う」とあります。まず本学会は、事件の再発防止を目的として措置入

院制度の改正を行うことに対して、きわめて強い懸念を表明するものです。」

日本精神神経学会の意見表明(全文)
https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/activity/seishinhokenhukusi_170318.pdf

日本精神保健福祉士協会の見解
http://www.japsw.or.jp/ugoki/yobo/2016.html#14

ユーザー側からも大きな反発があります。

DPI(障害者国際インターナショナル)日本会議の精神保健福祉法改正に対する意見
http://dpi.cocolog-nifty.com/vooo/2017/03/dpi-bd79.html

全国「精神病」者集団の精神保健福祉法改正案に関する緊急声明
http://www.jngmdp.org/announcement/3846

かつて、1953年にハンセン氏病に対する国の非人道的な施策に対して、政府案による「らい予防法」改正に反対し人道的処遇要求する「らい予防法闘争」というものがありました。多くのこの病を持つ方々が命がけの意見表明を行ったと聞いています。今回の関係者の流れはどのようになっていくのでしょうか。


出典:「ふるさとをむすぶ」HPよりhttp://www.geocities.co.jp/furusatohp/panerurten/rekisi/rekisi14.html

今回の法改正に明確に反対するサイトもありました。
https://mental-health.amebaownd.com/


最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。