平成28年度診療報酬改定
- 2016.03.06
- 日記
2月10日に発表された平成28年度診療報酬改定について、個人的に目についたものは次のようなものでした。
・精神科地域移行加算(長期在院者を一定の割合以上退院させた場合に病院の入院基本料
に加算できる点数)が10点→20点となりました。これは地域移行促進の観点からはプラスの
評価が得られるということかと思います。
・退院後訪問指導料 580 点が新設されました。厚生労働省の規定する一定の基準に合致する
患者が退院した日から起算して1月以内の期間(退院日を除く。)に限り、5回を限度として
算定する。これも地域移行促進に対する加算と考えられます。
・依存症集団療法が新設 340 点 (6 ヶ月間に限る。)
薬物依存症の患者であって、入院中の患者以外のものに対して、集団療法を実施した場合
に、治療開始日から起算して6月以内に限り、週1回を限度として算定する。ただし、特に必
要性を認め、治療開始日から起算して6月を超えて実施した場合には、治療開始日から
起算して2年以内に限り、更に週1回かつ計24 回を限度として算定できる。
これは依存症を地域で治療するという流れに沿ったもので、CRAFTやSMARPPが念頭にある
ものと思います。
・薬剤総合評価調整加算の新設 250 点(退院時に1回)
入院患者が以下のいずれかの場合に該当すれば、退院時に1回算定されます。
(1)入院前に6種類以上の内服薬(入院時において当該患者が処方されている内服薬のうち、
頓用薬及び服用を開始して4週間以内の薬剤を除く。)が処方されていたものについて、
退院時に処方される内服薬が2種類以上減少した場合
(2)精神病棟に入院中の患者であって、入院直前又は退院1年前のうちいずれか遅い時点で
抗精神病薬を4種類以上内服していたものについて退院までの間に抗精神病薬の種類数
が2以上減少した等の場合。なお、保険医療機関がクロルプロマジン換算を用いた評価を
行う場合には、クロルプロマジン換算で2,000mg 以上内服していたものについて、1,000mg
以上減少した場合を含めることができる。
多剤大量両方を是正するために診療報酬で誘導を図ったものと思われますが、当院では
クロルプロマジン換算2000mg超の方はすでに減量済みのため、現状では算定される方は
いらっしゃいません。なお、当院においては1日当たりの抗精神病薬投与量が1000mgを
超える方、抗精神病薬4種投与の方には、薬剤部から主治医あてに照会のレターが届き、
その使用理由は患者さまにお渡しすることになっています。
・精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケア又は精神科デイ・ナイト・ケアの
いずれかを最初に算定した日から起算して1年を超える期間に行われる場合には、週5日
を限度として算定する。ただし、週3日を超えて算定する場合にあっては、患者の意向を踏
まえ、必要性が特に認められる場合に限る。デイケア等の起算日から3年を超える場合に
は3日を超えて算定する場合には、長期の入院歴を有する患者を除き、当該日における
点数は、所定の100 分の90 に減額される。
いよいよ「居場所型デイケア」を整理する方向が進みました。
【特に認められる場合】
1)週3日を超えるデイケア等の提供が特に必要と判断されること
2)精神保健福祉士が聴取した患者の意向に沿った診療計画に基づいて実施されること
3)当該保険医療機関において、デイケア等の提供が週3日を超える患者の割合が8割未満
であること
・3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の
抗精神病薬の投薬を行った場合に処方箋料などを減算し、薬剤料も20%減額する
(臨時の投薬等のもの及び病状等によりやむを得ず投与するものを除く。)
向精神薬多剤投与を行った保険医療機関は、3 月に1回、向精神薬多剤投与の状況を地方
厚生(支)局に報告する。
薬剤総合評価調整加算の新設と併せて私たちが長年取り組んできた多剤大量処方への対策
としてもう一歩診療報酬では進んだと考えています。
診療報酬の改定も踏まえながら、弊法人はこれからも適正な医療のご提供ととHeart-fullメッセージ2008に基づいた活動を続けてまいります。
最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。
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