突然死から自分を守る

NPO法人 コンボ編集 『統合失調症の人が知っておくべきこと~突然死から自分を守る~』を読ませていただきました。

統合失調症をお持ちの方に抗精神病薬による薬物療法が有用であるということには一定のコンセンサスがありますが、多剤大量療法が常態化している我が国においては、治療中の方が突然亡くなってしまうしまう「突然死」がながい間、知ってはいるがなかばタブー視されていた問題であったかと思います。
しかし、その原因はなんとなく大量の薬を飲んでいたからではないかと思われながらも推測の域をでてきませんでした。ここ数年の間に、突然死に関することがかなり具体的にわかってきました。海外の研究によって、いろいろなデータが出てくるようになったのです。その結果は次のようなものです。


 ○抗精神病薬を服用している人は、そうでない人よりも心臓突然死の
   リスクが高まる
 ○抗精神病薬の服用量が増えれば、突然死のリスクは高まる
 ○抗精神病薬の併用数が増えるほど死亡リスクが高まる
しかし、一方で
 ○抗精神病薬をのまなければ、自殺などのリスクが高まる
といういうデータもあります。

 本書籍の立場は、「突然死の問題は、薬そのものが危険なのではなくて、適切な量を超えての服用が突然死のリスクを高める」ということです。

 この本は次のことを伝える本です。
 ●統合失調症の人は一般の人よりも病気にかかりやすいこと。
 ●統合失調症の人は一般の人よりも突然死のリスクが高いこと。
 ●抗精神病薬(統合失調症の薬)は管理して使う必要があること。
 ●しかし、そうしたリスクから、自分を守る方法があること。
 ●知識を持っていれば、対処ができること。

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 ●第1章 薬によって私たちにはどんなことが起こっているのか?
        /山梨宗治(全国精神障害者ネットワーク協議会事務局長)
 ●第2章 家族から見た統合失調症罹患者の異常な死亡率
        /小松正泰(川崎市の家族会連合会)
 ●第3章 薬を使いこなす前に考えるべきこと
        /佐藤光展(読売新聞東京本社医療情報部)
 ●第4章 統合失調症患者の死亡リスクと薬物治療
        /藤井康男(山梨県立北病院院長)
 ●第5章 薬と安全につきあうためにはどうすればよいか
        /吉尾隆(東邦大学薬学部)
 ●第6章 統合失調症患者の突然死をめぐって
        /里中高志(精神保健福祉ジャーナリスト)
 ●第8章 いま苦しんでいる方々と共に
        /加藤玲(新宿フレンズ家族会) 
 ●第9章 多剤大量処方になることを防ぐために
        /伊藤順一郎(コンボ共同代表理事)
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私も統合失調症の薬物治療における単剤化/減量化と禁煙サポートは身体的健康回復には不可欠と感じています。関係者の皆さまにぜひ手に取っていただき、お読みいただきたい本です。

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最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。