統合失調症治療におけるリチウム@コクラン・レヴュー

統合失調症の薬物治療において、炭酸リチウムの併用は有効であるのか、コクラン・レヴューで調べてみると、次のようなものがヒットしました。

Cochrane Database Syst Rev. 2007 Jul 18;(3):CD003834.
Leucht S, Kissling W, McGrath J.:Lithium for schizophrenia.Leucht S, Kissling W, McGrath J.

このレヴューにおける主要な結果は以下の通りです。
2006年に行ったレビュー以降の最新版検索では、レビューに含まれるための基準を満たした研究は検出されなかった。これまでの研究の大部分は小規模で短期間の、不完全に報告されたものであった。しかし、何人かの著者はデータをレヴュワーと共有する用意があった。
リチウム単剤治療はプラセボと比較した場合、転帰にいずれの違いも示さなかった。
リチウム単剤治療と抗精神病薬の比較している研究において、リチウム群の参加者は、より早く研究から脱落した。転帰のいくつかはリチウムが抗精神病薬より効果的でないことを示唆したが、さまざまな評価尺度が使用されており、データを要約することは難しかった。
リチウムによる抗精神病薬の増強療法と抗精神病薬単独使用より効果的かどうかの研究では、リチウム増強療法を受けた多くの参加者は、有意に臨床的に重要な反応を呈した。しかし、統合失調感情障害群の参加者が除外されると、統計的有意性はボーダーラインになった。さらに、リチウム増強療法群の参加者はより早く研究から脱落した。このことは、抗精神病薬単独治療よりもリチウム増強の方がより小さい許容性であることを示唆している。
精神病的な状態に関してはリチウム増強の有効性は確認されず、有害事象に関しても群間の差は確認されなかった。

レヴュワーの結論:
・リチウム単剤療法が統合失調症の人々に対する有効な治療であるという無作為の試験による
 エビデンスはない。
・リチウムによる抗精神病薬の増強療法に関して利用可能なエビデンスは断定的でない。
 しかし、さらに大規模、シンプルでうまく設計された試験を行う理由はある。

アブストラクトはこちらをご参照ください→http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17636738

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。