ピアスタッフってなんだ?

山梨県精神障害者訪問支援モデル推進事業チーム”Si puo fare!”では、県内の各圏域ごとに「アウトリーチ事業」についての説明・研修会を巡回方式でうかがわせていただいています。先日は、峡南保健福祉事務所(峡南保健所)、昨日は中北保健所峡北支所にお邪魔しました。

  
山梨県HPより拝借しました

研修会では、必ずスタッフとして活動している「精神的困難の経験をしてきた人」の立ち位置からの話を織り込んでいます。このような経験をお持ちの人々は、よく「ピア」と呼ばれていますが、「ピア」というのは同僚、同輩、仲間、友人、対等者、ネットワークで現在接続している相手PCなどを指す単語のことで、もともとの意味にはどこにも「精神疾患の…」という意味合いはありません。アウトリーチチームの中では「ピアスタッフ」というくくりではなく、それぞれの人の名前があるだけだと考えられていますので、チームの名刺には属性は印刷しておらず、それぞれ書き入れてよいことになっています。

  

私が経験ありの人とのこれまでの対話を通じて思ったのは、地域で暮らしていくと決めた人が、何か手助けを必要とする事態になった時に、どこに相談できるのかがわからないことが多いということでした。困りごとのある人を助けるのではなく、「自分自身の力でなんとかやっていくためのヒント」ではないかと思いました。

私たちのチーム、”Si puo fare!”には何人かの「経験者視点を持てる人」がいます。チームの中で意見を述べ、経験を活かして、利用者の方にとりよい方向性を見出していくための大きな力になってくださっています。行政や医療や福祉の立場のない、フラットな関係を築きやすい方々は、これまでのシステムではうまく取り扱えない問題の解決の糸口となっていくのではないかと期待しています。専門職が決めた方針を実行するという役回りではありません。今までとは別の視点から工夫を発案して実現していただくことに期待しています。

新しい視点からすると、大事なのは「相手の方のしてもらいたいことだけを行う」ことかもしれず、そのためには行政や医療などとは独立したスキル・資格を持つ人、つまりこのための専門的な訓練を受けた人が必要なのではないかと思います。専門性を明確化ことによって、精神的困難の経験を持つ人が「管理的なシステムの一員の中で必ずしも納得していない活動を仕事として行う”ピア”」という「二重役割」の苦悩を負うことが減じるのではないかとも考えます。

スウェーデンではPersonal Ombudsというものがあることを知りました。学んでみたいと思いました。

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。