統合失調症3

院内勉強会は統合失調症の第3回となりました。

 

統合失調症の障がいに大きく関係している認知機能障害は、社会機能にもさまざまな影響を与えます。特にワーキングメモリーと注意機能(注意維持や選択的注意)の障害の影響は大きいと思われます。

   

しかし、実は、精神疾患の治療に使われている薬物の中にも、認知機能に影響を及ぼす薬はたくさんあるわけです。定型抗精神病薬のほかにも、錐体外路症状を改善するための抗パーキンソン薬や睡眠薬、感情調整薬など、いずれも量に呼応して認知機能に悪影響をもたらすわけです。

   

一方、かつての「多剤大量療法」については、その妥当性には大いに疑問が呈されるようになりました。「多剤大量療法」がより有効だというエビデンスはなく、さまざまな問題点が指摘されています。多い薬の量は退院後の服薬行動にネガティヴな影響を与えますし、歩行障害や転倒、嚥下困難などの身体的な悪影響は無視できません。この点については、訪問看護を行っているスタッフから「多すぎる薬はなんとかしないといけない」という問題提起がありました。

   

病棟で、精神疾患の陽性症状のように思っている行動の障害や、陰性症状、または態度の問題だと思っていた行動が認知機能障害という新しい視野からアプローチすることによって改善することができれば、多剤大量療法が防止できるのではないか、と看護スタッフからのうれしいフィードバックがありました。

   

当病院では薬剤師による精神科薬剤管理指導業務が広く行われています。今後も、副作用や相互作用などのチェックを行いながら、多職種のスタッフがチームで患者様の治療にあたり、適切な薬物療法を引き続き行っていきたいとの思いを強くしました。

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(wrote:財団法人 住吉病院