アルコールとうつと自殺

公益社団法人全日本断酒連盟さまの広報紙「かがり火」9月号が手元に届きました。今号で目を引いたのは、松本俊彦氏らが講演された、第2回日本プライマリケア連合学会学術大会シンポジウムの記事でした。

松本俊彦氏は精神科医として自殺者の2割にアルコール問題が潜んでいると指摘され、海外知見でアルコール依存症の方の自殺リスクは60倍から120倍高いというデータを発表されました。また、わが国の研究報告によって、うつ病患者とアルコール依存症の患者の比較をしたところ、自殺念慮は両者で大差がないが、自殺完遂ではうつ病8.3%に対してアルコール依存症16.7%と、アルコールによる自殺完遂のリスクがはねあがっていることを報告されました。

宮崎仁氏はプライマリ・ケアのお立場から、アメリカ内科学会の内科医が臨床で精神科疾患の診かたを伝える公式プログラムPIPCを紹介され、プライマリ・ケア医と精神科医が目標を同じにして互いの強みを生かした新しい連携の形を作ろう、と提案されました。

最後に、全断連名誉会員の立木鐵太郎氏が断酒継続における例会参加の大切さを報告され、早いアルコール医療専門医との出会いの重要性を強調され、全断連の公益事業の中心の一つでもある酒害相談がプライマリ・ケアネットワークの中で展開できれば、より多くの人々の益になることが期待できると結ばれました。

セルフヘルプ・グループはいまや、メンタルヘルスの分野においては、医療の外側にあったり、治療のアンチテーゼとして存在するものではなくなったと思います。ピア・サポートの力に助けられ、医療は医療ならではのアプローチとその限界を知った上で、ピアの方々と同じ問題に取り組んでいけるのだと思っています。

全国断酒会連合会さまのホームページはこちらからどうぞ→http://www.dansyu-renmei.or.jp/index.html

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