IPS-Lite Trial

EQOLISEトライアルの中心人物、Oxford大学のBurn,TのチームがIPS-LITEトライアルというものを計画しているようです。

IPS援助つき雇用は、施設への投資がないため、費用が少なく開始することが可能ですが、一方で雇用スペシャリストにはケースロード25名以内、というしばりがあります。その一方で、サービスはクライエントの立場の方が必要であれば期限を設けずに提供するというプリンシパルがありますので、すぐにケースロードがいっぱいになってしまうことになります。ケースロードが増えれば良いサービスが提供できないことは一般的に当然でもあり、一方で雇用スペシャリストを増やしていくことには人件費の増大をまねくために、他のサービス提供の低下をもたらす可能性があるわけです。たとえば、アメリカではデイトリートメント(デイケア)センターを閉じて援助つき雇用サービスに転換したことがIPSモデルの確立の大きな転換点であったと思われます。

ヨーロッパでのEQOLISE研究では、支援後9カ月以内に就職に達しなかったクライエントはその後も就職に至る可能性が低いという結果が出ました。また、働き始めた後には、仕事を継続する事に影響なく、彼らの雇用スペシャリストとの接触は4ヵ月後に自然に減少してなくなったそうです。したがって、医療資源を有効に活用するためには雇用スペシャリストのサポートに期限を設けることが必要であり、それを研究の結果から就職前9カ月までと、就職後4カ月と設定して、IPS原形と差があるのかどうかを判定しようという意図の研究のようです。
患者を一定期間でサービスから解放することは、サービスを得る順番が「後からの人」にまわる機会をに増やし、より多くの人が働けるようになると研究趣旨は説明してあります。

イギリスはアメリカと違い、精神医療は国が管理していますので、費用対効果はより強く意識されているので、国家財政を有用と考えるサービスに投入していくための証明が必要なのでありましょう。多くの国民が医療費について負担をしているわが国と似た状況であるイギリスで、実行可能なリアルIPSとはどのようなものであるのかを模索する1つの試みとして、どういった結果になっていくのか、注目したいと思います。
http://www.psych.ox.ac.uk/research/researchunits/socpsych/research/IPS%20Lite%20Trial

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