【コンボお知らせメール便】第2便 多剤大量処方配布資料

昨日の【コンボお知らせメール便】の第2便です。全文掲載します。

<ここから転載>

本人や家族が副作用や身体合併症を知ることがどれだけ大切かをお知らせするために多剤大量処方へ警鐘を鳴らす記者会見で配布した「身体合併症に関するQ&A」をお配りします。

身体合併症に関するQ&A
回答 長嶺敬彦(吉南病院内科部長)

■副作用と合併症との違いは何でしょうか?
【回答】これは包含関係の問題です。
身体合併症のほうが広い概念で、副作用はその中の大半を占めると思います。
身体合併症では薬によるものではない、精神疾患以外の身体疾患を含みます。
例えば双極性障害では糖尿病に罹患しやすい。
もちろん薬も関与しますが、薬の投与を受けていない双極性障害でも糖尿病の罹患率が高いのです。
遺伝的なリンクが考えられています。
副作用は薬と身体疾患が因果関係にあるものです。

■長嶺先生は、検査は「6か月に1回の頻度が目安」と述べていますが、その理由をお教えください。
【回答】疾患のなりやすさ(at risk)で異なりますが、1年では不可逆的な変化を起こすことがあるからです。
代謝異常など可逆的な内に見つけることが必要で、出来れば6ヶ月くらいで検査をすることを勧めています。
また体重が増えたり、何らかの症状があるときは臨時で検査をすることが大切です。

■ある統計によると、約56%の患者さんが、数ヶ月おきから6か月おき程度の頻度で血液検査をうけています。しかし、コンボ読者に行った別のアンケートでは、血液検査を精神科ではなく、内科で受けている人が多く、また、精神科医から血液検査をしましょう、と言われるのではなく、自分で希望して行ってもらう場合も多くあるようです。
【回答】その通りです。精神科で受けることより内科での検査が多いです。
一つには臓器別の医学の弊害でしょう。

■長嶺先生の印象では血液検査の必要性を認識している精神科医は多いでしょうか? 少ないでしょうか?
【回答】少ないと思います。
身体疾患に対する認識が少ないのは、身体疾患に関する知識の不足があります。
知の枠組みが影響します。
枠組みを持っている医師は検査を思いつきますが、関心がない(枠組みがない)医師は検査は当然思いつきませんよね。

■精神科医にとって、知の枠組みが違うとすると、入院している患者さんの身体合併症などのチェックはされにくい状況にあるのではないでしょうか? また、そうした場合は、身体合併症が見過ごされたり、治療が遅れたりする状況が生まれるのではないでしょうか?
【回答】その通りです。
様々な習慣(暗黙の了解)が疾患の形成や発見に大きな影響を与えます。
そのことに精神科医自身が一番気がつきにくいのです。それをこのたび出版した「抗精神病薬をシンプルに使いこなすためのEXERCISE」(新興医学出版・2010)の中で、無意識も含めて論述しました。

■なぜ、身体合併症や突然死の問題は、あまり問題になってこなかったのでしょうか。
【回答】精神科病院が収容施設である側面が強かったからでしょう。
病気を治すという意識があれば、突然死は大きな問題です。
家族も病院に預かってもらっているという感覚がある場合、突然死しても問題視しませんから。

■精神科医は、あまり合併症の知識はもっていないものなのでしょうか。
【回答】人によると思いますが、身体疾患の知識の前に身体の疾患に対しての基本的な知識や感覚が不足している医師もいますし、医学的に正しい知識を有している精神科医もいますが、身体疾患を毛嫌いする精神科医も多いです。

■患者が身体合併症の知識を持ち、定期的な検査を受けることで、身体合併症や突然死の問題は減らせるとお考えでしょうか?
【回答】効果があると思います。
知の枠組みを持つことで、対応が異なります。
そういう意味でも、今回の本での啓蒙活動は大切です。

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