職場適応援助者養成研修から伝わったもの
- 2010.07.29
- 日記
今年も弊法人では、障がい者の就労支援者養成のための研修にスタッフが行ってきました。研修の感想を復命書の形式の一部として聞いてみましたので、アップしてみます。
7月16日~21日、連日30度を越える暑さの中、特定非営利法人くらしえん・しごとえん主催の職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修が、浜松の地で開催されました。これまで保護的な環境で生活をしていた障がいをお持ちの方々が、雇用関係で結ばれた企業でご自身の役割を果たしていくための援助していくのがジョブコーチです。今回の研修には北は北海道、南は九州・佐賀県から41名の面々が集まり、それぞれの支援現場にふさわしいジョブコーチを目指して熱心に取組みました。
研修初日に神奈川県立保健福祉大学の松為信雄先生の「職業リハビリテーションの理念と就労支援の過程」というお話しがありました。この中で松為先生は「働くことの意義」として、先ず「就労は主体的な社会参加の最も望ましい形態」とした上で、その意義を(1)社会的な視点としては、社会の存続や発展に必要な活動を分割して個人に割り当てたもの、(2)個人的な視点としては、役割を果したり能力や興味を発揮して、様々な心理的満足を得る源泉である、と説明してくださいました。この「個人的な視点」から、障がいをお持ちの方が主体的に地域生活や自立生活を実践していく際に、就労は生活リズムを整え、自尊心を満足させ、収入も得ることが出来るという一石何鳥もの効果があることがわかりました。
また、働くことを「キャリア発達」の面からも教えていただきました。「人間にとってライフキャリアに占める『職業人』としての役割はとても大きく、その役割の自主選択と遂行がキャリア形成である」ということです。障がいの有無に関わらず、私たちは仕事があるから朝起きて、出勤し、会話をし、笑い、時には悩み、達成感を得たり、やりがいを感じていくのだと思います。その過程で成長し、職業的(キャリア)発達をしているのでしょう。障がいをお持ちの方の職業生活もそうであってしかりだと松為先生は強調していました。ジョブコーチは現場で作業分析をして職場適応させていくことも必要ですが、もっと広い視点でその方の希望や生きがいを引き出しながら、ふさわしい職業生活のあり方の支援をする人であることがこの研修を受けてわかりました。更に、単なる「就労支援」から、その企業に求められる人材として雇用を進めていく「雇用支援」にパラダイムを転換していくことも求められました。これも戦力としての労働力になるには必要なことと思います。
住吉病院でも10名を越える当事者の皆様と一緒に働いています。皆様の仕事の適応性が高いので、院内ジョブコーチは黒子のような「見守り隊」をその役割としています。私も今回無事に『修了証書』を頂くことができましたので、これからはより皆様に有効な職場適応援助ができる「幸せなワーキングライフを彩るためのジョブコーチ」になり、私自身もキャリア発達ができるように日々頑張って参りたいと思っています。
働くことはリカバリーのすべてではありませんが、自己実現の一つの過程であると思います。働く人がそれぞれの成長を求めて雇用主様とともに社会に貢献していくことの重要性を再認識できる復命書でした。
NPO法人くらしえん・しごとえん様のHPはこちら→http://www.kurasigoto.jp/
最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。