リカバリーを目指した就労支援と認知機能

山梨県精神科病院協会作業療法士部会の研修会で、講演の機会を頂戴いたしました。土曜日の午後と言う時間にもかかわらず、県内から多くの方々にお集まりいただきました。

統合失調症の方の生きづらさに大きな影響を与えていることが再認識されてきた「認知機能障害」と、私どもの実践の中において、働くことを応援するために、認知機能障害の理解に基づいた工夫することについて、いただいた時間を目一杯使ってお話しさせていただきました。

  

IPSモデルによる援助つき雇用を実践していく場合には、ご本人の夢を教えていただき、希望を感じていただけるような仕事を開拓していく「マッチング」が重要です。そのことを重視する場合には、長期間のトレーニングは必ずしも必要ではないと考えていますが、私たちは一人ひとりの方が望んだ仕事場に定着していくための工夫としては、ネットワークまかせではなく、ご本人のもつ意欲と力強さが発揮できるような応援の仕方が重要と思っています。講演では、現場でのヒントについてもお話しいたしました。

  

さらに、私の同僚である働くことの支援者である作業療法士兼第1号職場適応援助者から、その実践における具体的な支援法として、法人内での当事者スタッフへについてのフォローをもらいました。

  

支援の工夫は、あらかじめマニュアル化されたものではなく、一人一人の方ごとの認知機能特性とストレングスに基づき、チャレンジとフィードバックを通して個別に積み上げられ、作り上げていくという過程がお示しできたものと思います。その際に、「職場での失敗」を待たずにBACSを用いた評価を行うことによって筋道の概要を持っておくことが有用であると私たちが考えていることがお伝えできたかと思います。

  

歴史的に、病状のみではなく、全人的に「生活の中で、ご本人のできることを伸ばしていく」という理念を持っておられる作業療法士の方の力を、社会の中で働く、というリカバリーを目指した新しい支援の局面においていかせることの可能性がお伝えできていれば幸いです。

私と同僚からのメッセージが地域精神保健福祉機構・COMHBO様発行の「こころの元気+」9月号に掲載されています。もしよろしかったらお手にとってご覧いただけますと幸いです。

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

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(wrote:財団法人 住吉病院