レジリエンス
- 2009.04.13
- 日記
レジリエンスという言葉を知りました。レジリエンスはresilienceと書き、フランス語読みだとレジリアンスとなります。その意味は
「困難な状況においてうまく適応出来る力」です。
これまでの研究では、レジリエンスの状態にある者に特徴的な心理的な特性は
・肯定的な未来志向性
・感情の調整
・興味・関心の多様性
・忍耐力
4つの要因であるとされていました。
小塩真司・中谷素之・金子一史・長峰伸治 (2002). ネガティブな出来事からの立ち直りを導く心理的特性-精神的回復力尺度の作成- カウンセリング研究, 35, 57-65.
では、新たに精神的回復力尺度を作成して大学生を対象に尺度を実施して結果を因子分析したところ、精神的回復力尺度は
・新奇性追求 Novelty Seeking
・感情調整 Emotional Regulation
・肯定的な未来志向 Poitive Future Orientation
の3因子で構成されることが明らかにされ、さらに精神的回復力尺度は自尊感情と正の相関を示しつつ、ネガティブライフイベント経験数や苦痛ライフイベント経験数と無相関であることが示された。
詳しくは中部大学人文学部心理学科 小塩真司先生の研究室 のホームページをご覧ください
→http://psy.isc.chubu.ac.jp/~oshiolab/index.html
精神科サービスの領域においても、困難からの回復には「希望」「自己効力感」の重要性が説かれていますが、それらを包含して、困難の状況を得ている人の本来のエネルギーを引き出し、自尊心を再び手にすることにより発揮される「回復力」を別の言葉で示す概念がレジリエンスといえるような気もします。
精神科の病からの回復に必要なものは特別なものではなく、苦労を得ている人々が共通して必要としているものではなかろうかと思います。
(wrote:財団法人 住吉病院)
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