訪問看護室の活動報告
- 2008.02.01
- 日記
1月29日に、住吉病院の訪問看護室の活動内容報告の発表会がありました。勤務時間後にもかかわらず、会議室には用意されたイスが足りなくなるほどの大勢のスタッフが集まりました。
訪問看護とは、退院後、当院通院中の方のお宅に、看護師、精神保健福祉士、作業療法士等が訪問して、家庭・地域にお住まいの皆さまが安心して生活できるよう、相談や療養上必要な援助、支援を行うものです。
当院では、2006年6月に訪問看護室を立ち上げました。このときの専属看護師は1名で、病棟業務と兼務している看護師が1名でした。その後、地域の皆さまのニーズにお答えする形で訪問件数は増加し、それに伴い2007年2月に専属看護師を1名追加、さらに10月にももう1名が追加配置されました。2008年1月にはさらに病棟からの援助を得、現在は看護師4名が配置、その他にも精神保健福祉士、作業療法士、そのほかの病棟看護師の協力を得て成り立っています。この間に月あたりの訪問件数は7倍強になりました。
訪問看護とは、どのようなサービスをご提供するのでしょうか? 訪問看護師はヘルパーではありません。患者様が困っている事、悩んでいる事を一緒に考え、一緒に行動し、アドバイスする事が重要だと考えています。たとえば、
・生活状況確認、指導、援助、アドバイス
・内服の確認、指導
・不安、悩みの傾聴
・バイタル測定、身体面確認
・ご家族へのアドバイス、不安傾聴
・危機介入
などがその内容ということになります。一方で、地域社会での生活支援は看護や医療の枠組みだけで収まるものではありません。経済面・疾病教育・仕事を得るための支援など、包括的なものが今後より求められてくると思います。訪問看護室長の話でも、医師からの大きな期待があること、今後に向けて、法人、さらには地域全体が一丸となった支援体制の構築が課題とされていました。
脱施設化を成し遂げた先進国では、重い精神障がいをお持ちの方に対して医療・保健・福祉の包括的サービスが行われており、これはAssertive Community Treatment とよばれ、頭文字をとって通称ACTと呼ばれています。精神科医・看護師・ソーシャルワーカー等を含む多職種チームが24時間体制で訪問を中心に展開するサービスで、退院とその後の地域ケアが効果的に進められるものです。わが国のパイロットスタディ(国立精神・神経センター)では、ACT利用者に、精神状況・社会生活機能の改善方向に変化・入院日数の減少傾向等が見られた者がいるということでした。
今後、私たちの地域生活支援はより、利用者の方のニーズにそったものに変化していくことが求められると思います。会の最後に、これまで当院の訪問を支えてきた何人ものスタッフが経験を聞かせてくれました。また、ご利用者さまからの声も紹介されました。
「訪問来てくれるから掃除しといたよ」
「訪問が来るから外来へ行くし、薬飲むけど、来なきゃ飲まんし捨てちゃうよ」
「次も楽しみにしてるよ」
「話を聞いてくれるから不安が少なくなる」
「一人だから何かあった時に安心」
「訪問に来てもらうと嬉しい」
「退院したら訪問来てね(再入院された患者様)」
「訪問看護がストレス解消です(ご家族)」
また一つ、住吉のよき伝統に触れることができて、自らがまだ若かった頃に、地域や外来の看護職の方に助けられて地域に出かけていたときのことを思い出し、熱を思い出すことができました。
(wrote:財団法人 住吉病院)
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