新規抗精神病薬と統合失調症の認知機能障害

Keefe RSE,Sweeney JA,Gu H,et al.:Effects of Olanzapine,Quetiapine,and Risperidone on Neurocognitive Function in Early Psychosis:A Randomized,Double-blind 53-Week Comparison.Am J Psychiatry 2007;164:1061-1071

http://ajp.psychiatryonline.org/cgi/content/abstract/ajp;164/7/1061

最近の統合失調症の治療においては、幻覚妄想のようないわゆる”陽性症状”、無為自閉のようないわゆる”陰性症状”のほかに、注意集中や行動の目標を設定し、柔軟かつ計画的に考え実行する力(実行機能)の低下などの”認知機能障害”が注目されています。

この研究では治療開始5年以内の統合失調症患者の認知機能について、オランザピン・クエチアピン・リスペリドンの代表的な新規抗精神病薬の治療を無作為にふりわけて、認知機能の改善度合いを比較しました。

認知機能評価についてはCATIE試験のバッテリーとKeefeらの開発したBrief Assessment of Cognition in Schizophrenia(BACS)が用いられました。オランザピンの1日平均投与量は11.7mg、クエチアピンは506mg、リスペリドンは2.4mgでした。

投与12週目に、すべての薬で認知機能障害の有意な改善が見られ、それは52週目でも同様でした。同時に、社会的機能改善と認知機能の改善には関連が認められました。

ちなみに、調査対象者における併用薬の投与率は低く、ベンゾジアゼピンが併用されていたのは12週目に全体の0.8%、52週目には1.1%にすぎませんでした。抗うつ薬は4.3%と3.2%、抗コリン薬は0%と1.1%、感情調整薬は0.8%と0%でした。多剤大量療法では認知機能への影響も無視することはできないため、早期の治療から単純化された投薬が重要と思われました。

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(wrote:財団法人 住吉病院