【研究集会情報】特別講演について
- 2026.01.13
- 日記
日本心理教育・家族教室ネットワーク第25回研究集会in山梨では、3月8日(日)の午前中に特別講演としてお2人の講師をお招きしております。
特別講演① 9:15~10:30
「オープンダイアローグの実践」
<演者> 斎藤環氏:つくばダイアローグハウス
オープンダイアローグとはフィンランド・西ラップランド地方のトルニオ市にあるケロプダス病院のスタッフたちを中心に、1980年代から開発と実践が続けられてきた治療技法です。もともとは統合失調症患者への治療的介入の手法として開発されたものでしたが、この手法は国際的な注目を集めており、精神科領域において応用が広がっています。
オープンダイアローグの実践は、デンマーク、ドイツ、イギリス、イタリア、ポーランドなど国際的な広がりつつあります。日本でも2015年、今回の援助である斎藤環氏『オープンダイアローグとは何か』(医学書院)が出版されて以来、大きな反響と広がりを呼んでいます。住吉病院でもコロナ禍前の2017年から2018年にかけて、山梨県の精神保健福祉を考える会との共同企画で何回か学習会を開催しましたが、現在は残念ながらできておりません。
https://sumiyoshi-kaisei.jp/blog/2017/04/28/blog-149/
※ 現在は有志の方による「やまなしダイアローグの会」がオンラインで開催されています。
演者の斎藤環氏は、オープン・ダイアローグ・ネットワーク・ジャパン設立の共同代表のおひとりで、日本におけるオープンダイアローグ普及と実践支援の活動などを行っておられます。https://www.opendialogue.jp/
今回は、オープンダイアローグの実践についてお話をうかがえるということで、私もとても楽しみにしております。
特別講演② 10:45~12:00
「母と自信の病を公表して15年 気づいたこと・やりたいこと・その変遷」
<演者>
夏苅郁子氏:やきつべの径診療所
夏苅郁子先生は、現在は配偶者の方とご一緒にクリニックを開いておられる精神科医ですが、今は亡きお母上が統合失調症をお持ちだったということをオープンにされたうえでさまざまな活動をされています。私は研修医時代に山梨県立北病院で、子どもさんをお持ちの精神疾患をお持ちの方に同僚の保健師と訪問などしていたときがあったのですが、夏苅先生のご自身を開いたお話に接して、言い表せぬ思いを感じたことがありました。ご著書「心病む母が遺してくれたもの」によれば、夏苅先生とお母上との葛藤や夏苅先生ご自身の精神的な困難の歴史や精神科医になった経緯についてオブラートに包まずに書かれてあります。その後のさまざまな医療関係者やそうでない人々との出会いによって少しずつ回復を歩まれ、ご自身のリカバリーの物語を伝える活動を始められたそうです。
家庭で苦しんでいるご家族、ご本人がもっと人間らしく扱われ、もっといい医療を受けて大手を振って歩ける世の中になって貰いたいというもっと大きな心を持たれ、精力的なご活動で研究を通じてご本人・ご家族の立場から精神科医療を変革しようと活動されています。
夏苅郁子ほか」精神科担当医の診察態度」を患者・家族はどのように評価しているか―約6,000人の調査結果とそれに基づく提言。精神神経学雑誌 120: 868-886, 2018
抄録はこちらから
⇒https://journal.jspn.or.jp/Disp?style=ofull&vol=120&year=2018&mag=0&number=10&start=868
その後、このアンケートでの自由記述の部分について、計量テキスト分析法によって新たに解析が行われ、2023年4月にイギリスの学術誌 BMC Psychiatry 誌に論文が掲載されました。
Natsukari I, et.al.:How do patients and families evaluate attitude of psychiatrists in Japan?: quantitative content analysis of open-ended items of patient responses from a large-scale questionnaire survey.BMC Psychiatry volume 23, Article number: 253 (2023)
https://bmcpsychiatry.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12888-023-04732-w
元論文は英語ですが、 日本の精神医療では患者と市民の参画:PPI(Patient and Public Involvement)はが臨床の場で実践されているとは言い難く、日本の精神科医療の質を向上させるためには、PPI実践の第一歩として、患者の視点から精神科医の意識を理解することが不可欠であるという視点から、精神科医の意識に対する患者の評価を調査することを目的とした。
本研究では、全国の精神科患者家族会に所属する患者家族2,683名から回答を得た質問紙調査を用いた。本調査の自由記述質問項目である「精神科医を選ぶ基準(患者回答数784、回答率29.2%)」、「担当精神科医の態度(患者回答数929、回答率34.6%)」、「担当精神科医のコミュニケーション能力(患者回答数739、回答率27.5%)」の3項目について、KH Coderを用いて共起ネットワーク分析を行った結果、
患者が精神科医に最も改善してほしいと思っている担当精神科医の態度として、「精神科医はコンピュータを見るだけ」、「患者個々の状態に応じた診断を行う」、「患者との信頼関係の構築に努める」などが挙げられた。
この論文をもとにして、当事者ご本人・ご家族へ結果をわかりやすく解説した冊子が作成されており、無料でダウンロードできます。

この冊子の無料ダウンロード先(夏苅先生のプロジェクトのホームページからです⇒http://natsukari.jp/wp-content/uploads/2023/05/leaflet.pdf
日本のメンタルヘルスに変革起こそうとされているお二人の特別講演を聞く機会はめったにありません。どうぞ皆さま、起こしください。
日本心理教育・家族教室ネットワーク第25回研究集会のホームページはこちらです。1月20日まで事前参加申し込みの期限が延長されています。お早めに以下のホームページの「大会参加 申し込み」からどうぞ!
⇒ https://yamanashi25th-jnpf.net/program.php
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