2021年の10大ニュース

皆さま、今年も大変お世話になりました。恒例となりましたが2021年1年間を振りかえって、個人的に選んだ10大ニュースを発表させていただきます。

1.東京オリンピック・パラリンピック開催
  コロナ禍により史上初の1年延期を経て、東京オリンピック・パラリン
  ピックが7月23日に開幕し、多くの国・地域と難民選手団からアスリー
トが集まり、覇を競いました。オリンピックは会期中、一般の観客は観戦な
し、さらにさまざまな感染対策に取り組みながら、史上最多の33競技
  339種目が競われました。
  わが国では57年ぶり2度目となる国内開催の夏季オリンピックでしたが、
  日本選手団は過去最多の金メダル27個を獲得し、うち女子は14個でし
  た。さらに銀14個と銅17個を加えた総数58個を獲得しました。
  オリンピック開催前は、その是を巡って開催是認派と中止派で国論は二分さ
  れましたが、競技が始まれば、連日テレビ中継がおこなわれ、中止を強く主
  張していた番組でもメダルに一喜一憂、マスコメディアの手のひら返しは目
  を見張るものがありました。
  オリンピックが終わった後にパラリンピックが開催され、日本はここでも金
  13銀15銅23獲得と、これも史上初の大躍進でした。個人的にはホイー
  ルチェアラグビーが2大会連続の銅メダルでしたが、連日選手たちの奮闘に
  熱くなりました。パラリンピックでは子どもたちが招待されて観戦できまし
  たが、このことをきっかけに世の中が少しでも障がい者スポーツに興味を
  持ってもらいたいと思います。そして聴覚障がいをお持ちの方たちのデフリ
  ンピック、知的障がいをお持ちの方々のスペシャルオリンピックもパラリン
  ピック同様に取り上げられ、また、大きな国際大会が少ない精神障がいをお
  持ちの方々がフットサル以外の国際大会を持てるようになってもらいたいと
  思いました。
  その一方で、スポーツに関して、「障がい者」をひとくくりにまとめてしま
  うことについても考えた日々でした。

2.緊急事態宣言&まん防発令
  新型コロナウィルスのパンデミックは2年目を迎え、ウィルスは変異を繰り
  返し、国内でも猛威をふるい続けました。政府は感染者がこの感染拡大に歯
  止めをかけるべく、1月7日、首都圏に緊急事態宣言を発令し、各地を追加
  し、繰り返し発令されました。4月からは「まん延防止等重点措置」(まん
  防)が適用開始されて、私たちの生活は大きく変化しました。夏には感染力
  の強い「デルタ株」が流行して「第5波」となり、全国各地で1日当たりの
  新規感染者数が連日、過去最多を更新し続け、病床不足から入院できない感
  染者が相次ぎました。ようやく感染症が下火になった冬場に国内の移動も緩
  和されましたが、今、新らたな変異株「オミクロン株」が確認され、「第6
  波」の入り口ではないかと警戒は続いています。

3.ワクチン接種開始
  新型コロナウイルスのワクチン接種が2月17日、スタートしました。感染
  予防や重症化・死亡リスクを低減する効果を持つといわれるワクチンの接種
  は、政府が「感染対策の決め手」と位置づけたもので、内閣では新設の大臣
  も設置されました。
  わが国では接種は、主にファイザー社とモデルナ社のワクチンが使われまし
  た。最初に医療従事者が対象となり、その後、高齢者や基礎疾患がある人な
  どへの優先接種、さらに64歳以下の一般向け接種など対象は順次拡大しま
  した。新しい創薬技術を用いたワクチンでしたが、その安全性には疑問を持
  つ人たちも少なくなく、ワクチンをめぐる論争はいまだに続いています。
  接種スピードをあげるために病院や診療所による個別接種、各自治体が設け
  た会場での集団接種、企業などの職域接種、自衛隊が運営する大規模接種な
  ど多くの接種ルートが作られ、弊法人でも職域接種とかかりつけ接種の形で
  希望者への接種を行いました。現在は国民の8割近くが2回目の接種を終え
  たとされていますが、「第6波」への警戒感の中、12月1日からは3回目
  となる追加接種が始まりました。

4.ヴァンフォーレ甲府J1昇格ならず
  今年もこの項目が10大ニュースに入ってしまいました。今年のJ2リーグ
  戦においてわれらがヴァンフォーレ甲府は最終成績勝ち点80・23勝11分け8
  分けで3位となりました。昨年よりも順位を上げましたが、プレ―オフな
  し、昇格2チームのみの今年のレギュレーションによってまたしても昇格で
  きませんでした。
  上位2チームと比較して勝ち数・負け数で劣っており、昇格を逃すのはやむ
  なしでした。2019年からトップチームの監督を率いていた伊藤彰監督は、1
  年目は5位、2年目は4位、3年目の今シーズンは3位と徐々に成績を上げ
  てきていましたが、今シーズン終了後にクラブよりも自分のキャリアアップ
  を優先して退任。現時点で次期監督はまだ未定ですが、来年に期待します。

5.法人創立66周年
  公益財団法人住吉偕成会は、11月16日に前身の財団法人住吉病院創設以
  来66回目の創立記念日を迎えることができました。
  1955年(昭和30年)に、創設者有泉信先生が甲府市の田んぼの中に
  50床の精神科病院である財団法人住吉病院を開設以来、続く者たちは有泉
  信先生のお言葉にある患者優先の運営方針を貫き、法人理念として
  ・精神障害者の社会復帰の促進をとおして、社会に貢献する。
  ・基本的人権を尊重し、人間愛をもって利用者及びその家族等に接する。
  ・地域の精神医療をはじめ、精神保健福祉活動等にも積極的に取り組む。
  を引き続き推進してまいります。

6.著名な方々の診断名開示
  10月に秋篠宮家の長女眞子さまが、大学時代の同級生・小室圭さんとのご
  結婚にともない皇室を離れ、民間人の「小室眞子さん」となりました。
  お2人は2017年に婚約が内定しました、その後、小室家の金銭トラブル
  が表面化して結婚に批判的な国民感情がうずまき、ご結婚が延期されていま
した。
  関連儀式は行わず、国から支給される一時金も初めて辞退するという異例の
  形での門出となりましたが、この間、眞子さまご自身や婚約者ご一家、秋篠
  宮さまご夫妻へのメディアやSNSでの加熱した批判に長くさらされた眞子さ
  まは「複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)」と診断されるほどの精神
  的苦痛を感じておられると発表されました。
  また、テニスで大活躍されていた大阪なおみ選手は人種差別反対運動への発
  言などで影響力の強い方でしたが、全仏オープン棄権後、ながらく
  「depression」で悩んでいたことを公表しました。この「depression」を
  マスメディアが「うつ病」と訳したことから今度は大阪選手が精神的困難に
  直面したことそのものに対する非難や「うつ病」の診断をお持ちの方への
  バッシングがおこり、私は心を痛めました。その後、女優の深田恭子氏が
  「適応障害」を公表して休養後に復帰されました。
  このような状況にある方々を「新型うつ病」という風潮がありますが、「新
  型うつ病」という医学用語はありません。これはマスコミが受けを狙って作
  り上げた言葉であり、医学的な実態のない病気です。この病名を診断書に用
  いる精神科医もいないことを付け加えておきます。
  さまざまな方が精神的な困難に直面しています。それらをすべて生物学的な
  説明を行ってわかった気になったり、苦悩の本質をはかりにかけて批判する
  ようなことはあってはならないと思います。

7.無差別襲撃事件の多発
  8月に東京の地下鉄で見ず知らずの人に硫酸をかける事件で2人が受傷され
  ました。
  10月にも東京の私鉄で見知らぬ人を刺し列車に放火する事件があり17人
  が重軽傷を負われました。
  11月には九州新幹線で走行中の新幹線に放火されましたが、幸いにして被
  害者となる方はいらっしゃいませんでした。
  そして12月に、大阪の心療内科クリニックで男が放火して犯人を含む26
  人が死亡するという事件が起きました。
  これらの犯人は大量殺人を図ったとされていますが、いずれも自分の人生が
  うまくいかないことの原因を社会に求めて無差別に人を殺そうとする事件
  で、社会の閉塞感と孤独感から引き起こされたものと思われ、なんともやり
  きれない気分になりました。

8.政権交代
  今年2月にアメリカでは民主党のジョー・バイデン氏が第46代大統領に就
  任しました。前任トランプ大統領の時には人種間問題やアメリカ第一主義な
  どで、さまざまな波紋が起こりましたが、バイデン氏に交代してからも新型
  コロナ感染症の拡大が防げないことや、ワクチン派対反ワクチン派の対立、
  そして対中国政策など、アメリカの抱える課題は山積したままのようです。
  わが国でも政権選択選挙として衆議院の総選挙が行われましたが、自公政権
  は引き続き政権与党となり、いっぽうで野党は選挙協力体制を引いたもの
  の、政権交代には及びませんでした。

9.法人のコロナ対応
  新型コロナの感染拡大防止のため、今年も法人ではさまざまな対策を行って
  きました。病棟の面会はオンライン対応とガラス越し、感染症の落ち着きを
  もって短時間の対面での面会が可能となりました。基本方針として、対象と
  なる方の行動歴などにより個別の対応が続いています。さまざまなミーティ
  ングも三密防止・感染症対策などを行ったうえで、オンラインとのハイブ
  リッドを含み、顔の見える体制を維持しています。また、新型コロナウィル
  スPCR検査について、自前のPCR機器を導入して、疑い例や入院時のスク
  リーニングなどに素早い対応を可能としました。感染症の拡大予防に関して
  は今後とも引き続きみなさまのご協力をお願い申し上げます。

10.ノーベル物理学賞に真鍋淑郎氏
  今年のノーベル物理学賞の受賞者に、大気と海洋を結合した物質の循環モデ
  ルを提唱し、大気中の二酸化炭素濃度の上昇が地球温暖化に影響するという
  予測モデルを世界に先駆けて発表したプリンストン大学上級研究員の真鍋淑
  郎氏が選ばれました。氏は最近の例にもれずアメリカ国籍を持つ方で、今回
  も優秀な頭脳の海外流出を裏打ちする複雑な気分を味わいました。

次点:将棋の藤井聡太三冠、最年少四冠
  次々と最年少記録を更新している藤井聡太三冠(「王位」「叡王」「棋
  聖」)は、11月に八大タイトルの最高峰「竜王戦」で豊島将之竜王を破っ
  て「竜王」のタイトルを獲得し、史上最年少となる「19歳3か月」での四冠
  を達成しました。間違いなく一つの時代を築く棋士となった藤井四冠は、来
  年1月から開催予定の「王将戦」で渡辺明三冠に挑戦します。

今年も昨年に続きパンデミックに始まり、パンデミックにくれた年でした。人と人のつながりの大切さを改めて認識される年でしたが、新たな年こそは少しでも希望が持てる年になってほしいと願っています。

 

 

最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。