創立記念式典・院長あいさつ

院長あいさつ  令和3年11月16日

 昨年来猛威をふるった新型コロナウィルスはいったん勢いを減じたかに見えていますが、今なお病と闘い、また、後遺症に苦しんでおられる方々、そしてコロナ禍において生活やお仕事に影響を受けておられるすべての方に心よりお見舞い申し上げますとともに、皆さまのご回復をお祈り申し上げます。
 住吉偕成会は、本日、66回目の創立記念日を迎えることができました。1955年(昭和30年)のこの日に、創設者有泉信先生が甲府市の田んぼの中に50床の精神科病院である財団法人住吉病院を開設以来、有泉先生のお言葉にある患者優先の運営方針は代々引き継がれ、法人理念としての
・精神障害者への医療、福祉並びに各種活動により、社会復帰の促進と必要な
 保護をとおして、社会に貢献する。
・利用者の基本的人権を尊重し、奉仕の精神をもって、自己の技術と良心を
 医療と福祉に捧げると共に、人間愛をもって利用者及びその家族等に接する。
・地域における責務を認識し、その地域の精神医療をはじめ、精神保健福祉
 活動等にも積極的に取り組む。
に取り組み続けてきたところです。

開院当時の住吉病院

 今日まで、法人の理念のもとにご尽力いただいたあまたの先輩の皆さま、今ともに働いている同僚の皆さま、そして常に温かくご支援いただきました地域の皆さまに、ここに深く感謝を申し上げます。
 今日永年勤続表彰ならびに永年勤務表彰を受けられるスタッフの皆さまには、そのご努力に厚くお礼申し上げます。理事長先生のお言葉にもありましたとおり、我が国における新型コロナウィルスの感染拡大はいまだ収束を迎えたとはいえず、皆さまと直接顔を合わせてお祝いを申し述べることができません。本当に残念なことと感じております。
 この2年に及ぶ新型コロナウィルス感染症の蔓延は、社会に大きな影響を与えています。格差の拡大、いわれなき偏見や差別・排除を受けて孤立する人々の増加、困難を得た人々やそれに手を差し伸べる人々への心ないまなざし、そして未知の感染症に対して何が正しく何が正しくないか、自分の正義のみを言いつのり不寛容となる人々・・・・。私たちはかつてない社会の分断のはざまに身を置いていると感じています。この分断の中で、一部の精神科病院における拘束が違法であるという最高裁の判決があり、私たちは努力していながらも社会的な悪の働きをしているとレッテルを貼られて、厳しいまなざしを向けられています。ここにあらためて、新型コロナ感染症に感染された方やかつてハンセン氏病を患った方、HIV感染症を得た方、そして精神障害をお持ちの方々として社会からレッテルを貼られた方々の気持ちに、その苦しみの万分の一かもしれませんが、思いを致す次第です。
 今回表彰を受けられましたされた皆さまにおかれましては、いまこそ、これまでのご経験と研鑽からの学びを基に、当法人が大切にしている「すべての人のリカバリー/回復」の推進について、法人内はもとより社会にあっても、引き続きご尽力をお願いしますとともにさらなるご活躍を期待しております。
 末筆ながら、皆さまのご多幸ご健勝と疫病退散を念じて創立記念日に寄せる言葉といたします。

最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。