院長あいさつ
- 2020.04.05
- 日記
私には松野理事長のような格調高いメッセージを送る能力はありませんが、住吉病院長として、入職式・辞令交付式にあたり、対象となる方々にあてたあいさつ文をご披露させていただくことといたします。
院長あいさつ 令和2年4月1日
本日、新たに住吉偕成会の一員となった皆さま、ご昇任されて新たな任務にたずさわることになった皆さま、誠におめでとうございます。
皆様もご存じのとおり、我が国における新型コロナウィルスの感染拡大はなお勢いを減じたといえる状況になく、私どもが皆さまと直接顔を合わせて理事長先生より入職をご確認され、また、辞令をお渡しいただく式が中止となりました。本当に残念なことと感じております。
ご昇任された皆さまにおかれましては、これまでのご経験と研鑽からの学びを基に、当法人が大切にしている「すべての人のリカバリー/回復」の推進について、さらなるご支援、ご助力をお願いしますとともにさらなるご活躍を期待しております。
本日、新たに私どもの仲間となられた入職者の皆さまには、「HEART・fullメッセージ2008」をよくご理解いただいて、お一人お一人がご自分らしくお力を存分に発揮して、法人と社会に貢献していただきたく、お願いするとともに期待しております。
現在、社会は新型ウィルス禍で日ごとに不安が増大しています。突然の感染で、大切な人をなくし、住み慣れた環境から途絶され、自分のよりどころとしてきたものを手放して「感染者」として扱われ、治癒の見通しのわからない状況にある多くの人々がいます。マスメディアのあおる不安につき動かされて少ない物資に殺到する人々や、デマに惑わされて心穏やかでなくなる人、不安を直視できずに自分だけは大丈夫と思いこむ人も見聞きします。人がみな活きづらさを感じ、「心のケア」の必要はすべての人に向けられなければならない状況となりました。
私たちの法人は、60年を超える精神保健福祉の実践の中で、人の心を大事にし、また、望まない病を得てしまった人たちへの差別に一貫して反対してきました。社会では、いま、かつてハンセン氏病をお持ちの方々や精神疾患をお持ちの方々にとって向けられたまなざしが、この新たな感染症をお持ちの方に向けられていると感じています。
今こそ、困難に直面しながら回復に向けて懸命に生きる人々を、仲間として敬意を持って受け入れる「品格」ある社会を目指し、一緒に進んでいければ幸いです。
以上
住吉病院 院長 中谷真樹
最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。