THE SHOW MUST GO ON

今年度、弊法人では新棟を建築し、外来と病棟編成の刷新を行いました。昨年10月の新病棟開設のときに、これまで別棟にあったアルコールセンターの建物はその役目を終えて、新棟の3階に移ることとなりました。アルコールセンターの入口に掲示されていた”ALCOHOL CENTER”の文字も取り外されました。

思えば1980年7月16日に住吉病院で、それまで十分に専門的な治療を受けずに入院されてきたアルコール依存症をお持ちの方々を別の病棟にお移しして専門的な治療を始めたその日から、私どもの実践は始まりました。社会から排除され、さらに適切な治療からも排除された方々への新たなアプローチ法であるという自負がありました。
月日は流れて、アルコールセンターができ、依存症や嗜癖に対する治療法への理解が徐々に浸透していくようになりました。一方で、統合失調症を中心とした他の精神疾患をお持ちの方々へのかかわりは大きな進展がなく、センターと「精神の病棟」との運営の違いは徐々に際立つようになりました。ある疾患をお持ちの方に対する支援法を特殊なものと位置づけることによる、精神的困難を抱える人々の分断が起こり、それは長く続きました。

今回、新棟の3階には、「ALCOHOL CENTER」の掲示がかつてのアルコールセンターが掲げていたものそのままに移っています。そして同じ建物の2回には新しい依存症ないし嗜癖に関する診断名をお持ちでない方に入院治療をご提供する病棟があります。38年ぶりに依存症をお持ちの方々とそれ以外の方々の分断を解消すべく、同じ建物の中で治療を行う環境になったわけです。

リカバリー・回復を目指す実践を、今度は依存症の実践から学び取り、法人全体が伝統をもう一度思い起こしさらに実践し続けていくことを年度の終わろうとしている日に表明します。

Fairytales of yesterday will grow but never dies.

あの日始まった回復の物語はこれからも育ち、途絶えることはないと信じています。


最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。