中央社会保険医療協議会個別改定項目について
- 2018.01.30
- 日記
さる1月26日に開催された、中央社会保険医療協議会 総会(第387回)で配布された資料を読みました。「個別改定項目について」一つに、向精神薬の適正使用の推進が挙げられていました。これまでの診療報酬改定ではまだ十分に対応できていない漫然投与・多剤大量療法の改善への厚生労働省の利益誘導がなされている、と感じます。以下、抜粋して個人的に感じたことを記します。リンク元もご参照くださいますよう。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000192281.pdf
向精神薬の適正使用の推進
?A 向精神薬処方の適正化
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第1 基本的な考え方
向精神薬の多剤処方やベンゾジアゼピン系の抗不安薬等の長期処方の適正化推進のため、向精神薬を処方する場合の処方料及び処方せん料に係る要件を見直す。また、向精神薬の多剤処方等の状態にある患者に対し、医師が薬剤師と連携して減薬に取り組んだ場合の評価を新設する。
第2 具体的な内容
1. 処方料・処方箋料が減算となる多剤処方の範囲を拡大するとともに、多剤処方時
の処方料・処方箋料等の報酬水準を適正化する。
現行では3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬の投薬を行った場合処方箋料の20%減産がなされていましたが、改定後は3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、3種類以上の抗うつ薬、3種類以上の抗精神病薬又は○種類
以上の抗不安薬及び睡眠薬の投薬を行った場合に減算とする方針になりました。すなわち、抗不安薬と睡眠薬をベンゾジアゼピン系薬剤はこれまで抗不安薬2種類、睡眠薬2種類で計4種類まで減算対象になりませんでしたが、次年度からは双方を合計して規制をかけようとするものと思われます。おそらく〇の中は4よりも小さい数字が入るものと考えられます。
2.一定期間以上、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬を長期にわたって継続
して処方している場合について、処方料・処方箋料を適正化する。
(新) 処方料 ○点
(新) 処方箋料 ○点
[算定要件]
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬○剤以上を○月以上又は睡眠薬○剤以上を○月以上、連続して同一の用法・用量で処方されている場合(ただし、直近○月以内に、精神科医から抗不安薬等の処方について助言を得ている患者を除く。)
これはベンゾジアゼピン長期使用への対応策であり、長期使用した場合の処方箋料を減産するものと思われますが、「精神科医から抗不安薬等の処方について助言」というものの内容は不明です。
3.向精神薬の多剤処方等の状態にある患者について、減薬した上で薬剤師又は
看護師と協働して症状の変化等の確認を行っている場合の評価を新設する。
処方料
(新) 向精神薬調整連携加算 ○点
処方せん料
(新) 向精神薬調整連携加算 ○点
[算定要件]
直近の処方時に、向精神薬の多剤処方の状態にあった患者又はベンゾジアゼピン系の抗不安薬○剤以上を6月以上又は睡眠薬○剤以上を○月以上、連続して同一の用法・用量で処方されていた患者であって、減薬の上、薬剤師(処方料については薬剤師又は看護師)に症状の変化等の確認を指示した場合
1.2.で減算する一方で、ベンゾジアゼピン系薬の減薬を評価しようとするものです。薬剤師が協働する、という文言が入っていることを評価したいと思います。私どもの病院では「薬剤師外来」を設置して薬物療法の適正化を行っていますが、このような方向性を診療報酬上でも評価してもらったことをうれしく感じています。
最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。
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