島根県精神保健福祉大会講演「働いて元気になる!」後編
- 2015.12.18
- 日記
(続きです)
でも一つ、わかってきたことがあります。「私は私なりに身の丈に合ったことを全力でしていけば、きっとそれはいつの間にか誰かの役に立つ。」というものです。「信じること」と「考えること」は違います。現在私が考えて仕事で気を付けていることには、今与えられている仕事に全力を尽くすこと、出過ぎないこと、学びに貪欲であること、忙しいと言わないこと、何事にも感謝すること、などがあります。これらは自分に言い聞かせると同時に、時に希望になったり、時に訓戒となったりします。しかし仕事に教科書はありませんから、その分、自分の力を信じていく。そうして自分自身の「伸び」を感じてきました。周りには私を育ててくれる人ばかりなので、まるで親兄弟のように私もお慕いしているところです。患者や職種という垣根を越えて、というより無しにして。あるいは、そこに困っている人がいるから助ける。そんな当たり前の感覚にもう一度目覚めさせてくれたのが、この住吉病院でした。
回復なんて言葉は、見たことも聞いたこともありませんでした。だから信じられるはずはなかったのです。しかし「自分らしさの喪失」を体験したものの、ただ一つ大きく得たものがありました。「幸せ」です。
それまで気づかずにやり過ごしてしまっていた家族や友人、周囲で支えてくれる人々のありがたみがわかりました。役割をもらうことで、仕事に就いて、毎日働けることのありがたさがわかりました。失ったものの尊さや大きさがわかりました。あの頃持っていた夢や希望は、今の夢や希望とは全然違います。でも、どちらがいいとは私には言えません。あの頃の私の想像を遥かに超えて、今の私は何て生き生きしていることか。やりたいこともあったし、叶えたい夢もありましたが、今の私はたぶんとてもいい顔をしています。私は、「自分らしさ」を一度自ら手放しました。そうしたら、もう一度手に入れた「自分らしさ」には、以前の面影はありませんでした。何かを手に入れては、手放す。これの繰り返しだと思います。何も無いところからのスタートは初めてで、ドキドキもしたし、ワクワクもしました。不安もありました。でも多くの人に支えられて、私は生まれ変わりました。
私は、働いて元気になりました。
元気になったから働いたのではありません。
働くことが私の夢であり、
働けるというのが私の希望でした。
「ALL for Recovery」―すべてはリカバリーのために―
これは住吉偕成会の理念であり、大切にしていることです。
そしてこの言葉が、私を何度も救ってくれました。
私はこの言葉を信じています。
泣いて、笑って、働いて。いろいろあるけれど、それも人生です。
私は、何度も死にたいと思いました。
でも、私は今生きています。
生きることに理由がいるでしょうか。
生きたいから、生きる。働きたいから、働くんです。
初めはこの手の拳ほどあった薬が、 今は一錠になりました。
私はこれまで、仲間がいたから頑張れました。
支えてくれる人の存在は、私にとって何より尊く、感謝するものです。
最後に、
「私達はすべての人への人間愛の精神を大切に
ぬくもりある医療福祉をもって社会に貢献します」
―『HEART・Full メッセージ』2008―より
住吉偕成会が伝えたいことを伝えていけるような、そんな職員でありたいです。
私らしい働きを、人生を全うできるように これからも私らしくありたいです。
ご清聴ありがとうございました。
(講演内容ここまで)
最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。
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