ベンゾジアゼピンと処方薬依存を巡る問題@月刊臨床精神薬理6月号

星和書店発行の「臨床精神薬理」の最新号が手元にあります。(vol.16,No.6 Jun.2013)今号の特集は「ベンゾジアゼピンと処方薬依存を巡る問題」です。

諸外国と比較した場合、わが国では向精神薬の多剤大量療法が多く、そしてベンゾジアゼピンの処方量の多さが突出しているとされています。本来ベンゾジゼピンの使用には慎重さが必要であり、長期使用については行わない事が重要とされています。今では多剤大量療法に陥った人だけではなく、常用量依存に悩む人の声も大きくなってきており、この問題の啓蒙や、離脱のためのガイドラインの必要性を指摘する声もあります。私どもの病院でも「この処方で大丈夫なんでしょうか」と、セカンドオピニオンとして初診されたり、専門薬剤師外来へのご相談に来られる方も少なからずいらっしゃいます。

最近の薬物の依存による調査では、医師の処方箋によるものが原因の2位になっており、処方する側の見識のなさや意識の低さが問題とされてきています。この特集では、ベンゾジアゼピン処方による薬物依存の問題について、救急医の方や依存症治療を専門とされる医師のほか、この問題に立ち向かっている人々による問題点の抽出と、その対処法などが紹介されています。

多くの精神科医に読んでもらいたい特集号です。特に、巻頭の「展望」を書かれた松本俊彦先生の最後の文章が私をはっとさせてくださいました。

いま精神科医は、医療者としての仁義を問われており、精神科治療はこれまでの極端な「薬物(療法)依存」から脱皮することが求められている。少なくとも私はそう考えている。もちろん、そのような物言いをすれば、筆者は精神科医仲間から糾弾され、孤立に追い込まれてしまうかもしれない。しかしこのままでは、精神科医の方こそが医療界で孤立しかけない状況にある、ということを忘れてはならないだろう。

私は深く頷くのみでした。

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。