目標を見える化する

旧聞になりますが、昨年12月に、熊本の明生病院の趙岳人先生をお招きして講演をうかがう機会に恵まれました。趙先生は全国に多くのファンをもつ新進気鋭の実践的臨床医の方です。明生病院でのさまざまなご実践について、わかりやすくお話しいただき、会場は温かく楽しい雰囲気につつまれました。

中でも「対話と提案の臨床」で、当事者ご本人と目的やプランを共有することの大切さを強調しておられました。私は診療では、弊法人デイケアの心理教育の中で発展してきた「すこやか貯蓄計画」という、1枚の紙に夢や希望、自己管理のコツを書きこむシートを使用してきました。ことばを文字にすることでプランの共有と保存そして変更がたやすくなると感じています。

IPS援助付き雇用の支援場面では、「すこやか貯蓄計画」に加えて「私の就労プラン」やACTのシートを使って共有化を図ったりしています。文字を書くこと、想いを共有しやすい言葉、その人のものである言葉を大事にしています。中でも行間に込められた気持ちに力をもらうことが多いように思います。

趙先生が提示されたのはPersonal Goal Map という方法論で、白紙に2つの山を書き、前の大きい山にはスタート(対話)→ひと休み(提案)→ゴール(共有)と4つの小道(信頼・初期治療・回復・達成)を書き込んで、さらに遠くの山には次のGOALを書き込むというものです。これは素晴らしい発想で、時系列も順番も対話しながら明確化されていきます。しかも「ワクがはめられていない」です。さっそく一人ぐらしをしたい方、禁煙をしたい方の多職種カンファレンス(私が行っている形式では、ご本人が支援してもらいたい人に招集をかけて、どのようなプランをたてたらよいのかを話し合う場)で使いました。とても使い勝手が良いものでした。詳しくは趙先生のホームページの公開資料をご参照ください。

そして、その前に参加したアウトリーチチームの研修でWRAP(Wellness Recovery Action Plan)の「道具箱」に相当するものをコラージュで作ってみるというワークをやったことを思い出しました。これも、言葉に縛られないで自分らしく自分を表現するためにはとてもなじみやすい方法だと教わりました。下の写真は私の道具コラージュです。

対話と提案の精神医療の資料は趙先生のブログからダウンロードすることができます(趙先生に感謝いたします)→http://bit.ly/PcqwTl

趙先生のご講演に触れてみたい方はこちらをご覧ください→http://www.youtube.com/watch?v=e1uFZ_nympY

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。