ピープル・ファースト

久しぶりに、自分自身のものの見方を変えることを後押ししてくれた本に出会いました。

ピープル・ファースト:当事者活動のてびき―支援者とリーダーになる人のために 現代書館
ビル ウォーレル (著), Bill Worrell (原著), 河東田 博 (翻訳)

wikipedia「ピープル・ファースト」によれば、ピープル・ファースト(People First)は、知的障がいをお持ちの方々が、自分たちの問題を自分たちで、自分たちのために発言していくセルフ・アドヴォカシー(Self Advocacy)の団体です。当事者ご自身による自己権利擁護といってもいいとされています。「ピープルファースト」という「・」なしの表記も併用されています。

この活動の発端は1973年、アメリカ。オレゴン州の知的障がいを持つ人たちの会合で、ある少女が「わたしは、障がい者としてではなく、まず人間として扱われたい」と発言したことがきっかけとなって、この運動名が生まれたということです。日本では1995年に初めて「ピープル・ファースト話し合おう会」が東京で誕生し、現在では、全国各地に相次いでローカル組織が生まれつつあるということです。そして当初は知的障がいをお持ちの方々の団体であったものが、それ以外の障害の人たちの組織もあるようになりました。

どのような障がいを持っていても、あるいは持っていなくても、自分のことを自分で決める、それを発言する、適切なサポートを受けることについて、多くの方々が意識して、そして意識せずともそのようなことが当然であると考える社会であって欲しいと思います。そしてまた、支援を仕事にしている者がセルフ・アドヴォカシーを進める人々の権利擁護やエンパワメント(手放さざるを得なかった権利をふたたび手にすること)活動にどうやってかかわっていったらいいのか、そういったことについての力強いヒントに満ちている本です。

精神障がいをお持ちの方の支援者にも必読かもしれない、と私は感じました。中でも、『支援者のための手引き』は大きな学びを得た気になりました。いくつか抜粋してみますが、皆さま、どうぞご自身でお手に取り、この本をお読みください。
(2)私は、当事者の人間としての成長や可能性を見ているだろうか。それとも、「障害」や「限界」
   しか見ていないのではないだろうか。
(5)?@私の働きかけは、当事者の自尊心や自信を高め、思い切って行動できるように、彼らを勇気
    づけているだろうか。
?A当事者の私に対する依存心を少なくすることができているだろうか。
?B生活に影響を及ぼす決定に、自ら参加し、理解する機会を増やしているだろうか。
?C自分自身で決定を行い、問題を解決し、物事が行えるようにするプロセスを彼らに教えて
    いるのだろうか。
?D私が支配者と見なされるような機会を減らしているのだろうか。
?Eそれぞれの当事者が積極的な役割を果たすように奨励しているだろうか。
(9)当事者が次のようなことをしても平気だろうか。
?@私の考えに疑問を持つこと。
?A私を仲間から締め出すこと。
?B彼らが私を必要としないということ。
?C彼ら自身で決定することができるということ。
?D私がしていることに対して、否定的な反応を示すこと。
?E権威ある人物として私を見ないこと。

ピープルファーストジャパンのHPはこちらをご覧ください→http://www.pf-japan.jp/#

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。