ケアリング・クラウン
- 2012.04.16
- 日記
ショーバナ・シュエブカ著・高田佳子訳「ケアリングクラウン1」晩成書房
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アメリカ人医師のパッチ・アダムスは、ケアリングクラウンをはじめた人として日本でも有名ですが、欧米では、病院で長期入院している子どもや成人、施設に入所されているご老人などを、道化師(クラウン)が訪問・お見舞いして笑いや楽しさを届けるという活動が今から20年ほど前に始まり、今日世界60~70カ国に広まっているといわれています。入院や入所といった形で、困難な療養に専心し、社会との接点を失ってしまっている人たちにこそ、外からの訪問者と楽しさや笑いで気持ちを通じ合わせる時間は必要なのではないでしょうか。
しかし、病気や障がいなどのケアを必要とする人を対象とするのですから、ただ善意で行動を起こしてしまう前に、共感のあり方や疾患/障がいについて好ましいスキルと知識を学び、トレーニングを受けることも必要でしょう。そして、好ましいスキルや知識を知っている人はだれか、と考えれば、それは精神的困難を経験しながらも自分らしい生活を取り戻している人たちなのではないかと考えます。
入院している人に、定期的に「その人のために」会いに来てくれる人の存在の大きさは、かつて桜ヶ丘記念病院で薬剤師が病棟に入院されている人に個別の服薬管理指導を開始した頃に痛感しました。服薬管理指導の研究をしたのですが、その期間中に入院されている方はSAS-IIによる療養の質が改善していたというデータを経験していたからです。
私どもは今年度からアウトリーチ事業を開始し、ピアの方々と協働して地域で孤立している人にメッセージを伝えることをはじめようとしています。しかし、同時に、病院の中にいて地域から孤立している人にもメッセージを伝えていくことが必要なのではないかとも思います。「楽しいお見舞い」をする、ということは仕事になるのでしょうか。それは「ピアカウンセリング」とはどのように違うのでしょうか。学んでいきたいと考えています。
ケアリングクラウンについてお知りになりたい方のために「日本ケアリングクラウン研究所」のアドレスをご紹介いたします→http://caringclown.jp/index.html
最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。
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