過量服薬を招かない精神科薬物療法

「人生、ここにあり!」上映会&「やればできるさ!メッセージ大会」

日時:2012年2月11日(土)-12日(日) 於:山梨県立大学飯田キャンパス講堂
詳しくはこちらから→
http://yarimashoukai.blogspot.com/

本日は、平成23年度山梨県委託事業として「精神医療関係者研修会」がベルクラシック甲府でありました。
演題は「うつ病の広がりと過量服薬を招かない精神科薬物療法」について
演者は北里大学医学部精神科 教授 宮岡等 先生でした。

宮岡先生は私が研修医の時に指導をいただいた先生で、昨今の精神科医療の荒廃について危機意識を持っておられ、自らも講演会やブログなどで情報を発信しておられる先生です。会場には県内各医療機関の長である先生や多くのスタッフが集まりました。

以下は講演メモよりの抜粋です。

・大量療法の陰には多剤があり、医師の資質が問題になる
・大量処方の門番として薬剤師に期待がもたれる
・診療や処方に関するガイドラインの作成・普及が必要
・多職種チームによる医療推進に向け、PSWやCPの活用
・うつ病患者の数が増加した
 H8:気分障害433万→H17:924万→H20:107万
・抗うつ薬の売り上げ増加 SSRI開始
 1998:172億→2009:1100億
・医療を商売にする人たちをどうするのかを考えなければならない
・なぜうつ病が増えたのか
 「うつ病は薬で治る」というメッセージ
 診断をきちんとすること
 *DSM-IVでは抑うつも喜びの消失も睡眠障害も「ほとんど毎日、ほとんど1日中」
  であるが、これが正しく吟味されていない
・Disease mongering(病気の売り込み行為・病気喧伝)
 会社と医学界が協調して特定の病気を社会的問題として薬物治療を進めていく
 軽症うつ病・SAD・大人のADHD/メタボリックシンドロームなど
 疾患の早期発見や維持治療の強調もその一部かもしれない
 EAPもそうか
・抗うつ薬は軽症・中等症には効果が薄い
・今までは神経症性うつ病とされていた薬物療法や休養の効果の薄い疾患群をうつ病
 として治療することのあやまり
・新規抗うつ薬が勝っているとはいえない 
 プラセボの有効性、従来型抗うつ薬の有用性の誤解

これらを乗り越えていくには:

精神医療の透明性←地域連携
1)セカンドオピニオンを求めやすくする
  場所、費用、自宅近くの調剤薬局の活用
  相模原市、自治体で実施/紹介状必須でない
2)地域連携ネットワーク(地域連携パス)を作る
  研究会などで議論→情報の共有、診療の相互指導
  連携医療機関名の公表→ユーザーの医療機関選択指針
  (←以前より近隣の医師と面識がない時代)

とくに私が気づかされたのは、DSM-IVにより抑うつ神経症概念が破棄されてからは、すべてうつ病とされるがために、「定型型うつ病」が増えたような錯覚が起こり、それが治療法の混乱を招いていること、精神科医の自己研さんの努力がより一層問われるようになっていること、でした。さまざまなものがマニュアル化されており、以前のように「教科書」をじっくり読みこむことが減っているようにも思われ、身が引き締まる思いがしました。講演後には質問もあり、久しぶりに宮岡先生のご指導を受けて大いに学ぶことのできた会合でした。

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。