FISH哲学

最近、アルコールセンターでは「FISH哲学」を業務にとりいれようとしていると聞きました。

「FISH哲学」は看護職のスタッフは知っているかもしれませんが、法人全体ではまだ定着していない概念だと思います。
この「FISH」の由来は「魚市場」だそうで、アメリカのシアトルにある「パイク・プレイス魚市場」の話から由来しているようです。魚市場で働く人の仕事は朝が早く、水は冷たく、箱詰めされた魚は重く、そして仕事場はくさい。いわゆる3K職場で決して、楽しそうなところではなかったそうです。そうして従業員は互いに他人の欠点ばかりに目が行き、職場にはいつもいやな雰囲気がただよっていたということです。

しかし、あるとき彼らは気付きました。どうせやるなら楽しく仕事をしようと。そして自分に関わってくれる人を楽しませようと。

そして、職場として活気づき、カスタマーからも高い評価を得るきっかけとなる4つの哲学が誕生したのだそうです。

(1)Play         スタッフが仕事を楽しむ

(2)Make Their Day お客さまを楽しませる(おもてなしの精神)

(3)Be There      お客さまと向きあう(心をこめた対応)

(4)Choose Your Attitude  自分で態度を選ぶ(いやなことに振り回されない)

そしてパイクプレイス魚市場では、店員さんは買われた魚を放り投げて別の店員さんがキャッチするパフォーマンスで、お客さんを楽しませているようになりました。
彼らにとっては魚を買ってもらった収益よりも彼ら自身とお客さまが楽しむことが一番大切のようにみえ、そのためのチームワークがうまく機能しているとき、店には笑いがたえないそうです。

仕事の環境が容易に変化しない時に、現場の意気が下がり、 希望が持てないためにモラル・ハザードが増えるという考えがあります。「FISH哲学」では、環境に依存せずとも自分の「働き甲斐」をいかに充実させるかを考えるように提案しています。私自身は、そのために最も大切なのは、上司も部下も等しく楽しくてやりがいをもって働ける職場環境にあると思っています。モチベーションを上げるには、労働環境の改善はもとより、職務に対するときめき、夢、社会的意義、と組織における自己研鑽の機会、仲間意識などが不可欠です。これらを実現するには、「FISH哲学」は非常に良いツールであり、型として意識するのはサッカーのクラブであろうと思います。

そして、個人が自分の態度を選んで行動することがチームワークに波及すると、組織そのものが変化するでしょう。組織の変化を考慮せずに、ものの見方だけを変えるという点だけを強調すると、「FISH哲学」はよくない環境で我慢させるためのものになってしまうかもしれません。私は、楽しい、の先に個人の夢がなくては、人は真のパワーは出せないように思います。

「FISH哲学」の実践が、弊法人で働く人々にどういった影響を与えていくのか、興味深く見守っていたいと思います。

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。