ヴァージョン3.0のモチベーション

昨日、同僚の紹介で、働くことについて熱く考えておられる方々の会合に参加させていただくことをお許しいただきました。

それぞれの組織において、個人が能力を発揮して成長していくためにはどうしたらよいのか、多くの先輩方からお話をうかがって今回も大いに学びを得ることができました。人生のキャリアをつんでいくこと、というテーマは、障害をお持ちの方もそうでない方も、私にも、私以外の人々にも共通して取り組んでいくことのできる夢のある道のりなのだと改めて実感しました。

会話をさせていただいて強く感じたのはダニエル・ピンクの「モチベーション3.0論」でした。彼はハーツバーグの「動機付け要因=モチベーションを上げる効果のある要因」vs「衛生要因=下げる影響を与えるから発展させ、マズローの欲求段階説と対峙させて、人間のやる気・モチベーションは
 ・モチベーション 1.0 生存や安心に基づくもの
 ・モチベーション 2.0 報酬と懲罰(アメとムチに駆り立てられるもの
 ・モチベーション 3.0 内面から湧き出るやる気に基づくもの

にカテゴライズすることができ、この3.0のヴァージョンのモチベーションが重要な「やる気」の源だとしたのでした。まとめてみるとこんな感じになるのだと思います。

振り返ってみると、働くことを含めて生きていくことで、ほんとうに大事なことはおそらく自己実現なのであろうという、リカバリーの道のりと同じ山の頂点を目指すものであると私は感じました。障がいや困難の経験があったとして、安心して生活していくことはまず必要ですが、それより先のほめられ、役割を与えられ果たし、ほめられるという外から与えられるものを求めていく方々がいらっしゃり、そして自分らしくやりたいことに向かって元気を回復していかれる方々もいらっしゃいます。これらは上下の関係ではなく、道のりのどこを歩んでいるかだけの違いなのだと思いました。

ところが、最近のわが国の調査では「多くの働く人はモチベーション2.0を求めるようになっている」というものがあります。生活の中でチャレンジする機会が少なくなり、仕事による成長を実感する機会が少なくなったと言われています。そしてモチベーションが下がるというものですが、自己実現や希望をヴァージョンダウンしているのではないか、とも考えられます。アメやムチのモチベーションは依存性物質に近いものがあり、効果は一過性でだんだん効かなくなり、それを使う以外の対処方法がみつからないでエスカレートするような気がします。もちろん人の自己実現をサポートする立場としては、モチベーションをさげる要因である「衛生要因」つまり、一つと評価としての「円」や孤立を避けるためのつながりである「縁」、個人のプランニングに基づいてサポートする「援」の3つの”えん”を大切にして行くことが重要だと感じています。

なにより大切なことは自分の夢や希望がいつも見えるように、明確化していくことではないだろうか、ともう一度気持ちを新たにすることのできる出会いでした。ご一緒させていただいた皆さまに感謝申し上げます。

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。