シアワセノカケラ

3月27日、以前から楽しみにしていた「岩崎宏美35th Anniversary コンサート」を見に大宮ソニックシティホールまで出かけてきました。今回のコンサートは記念コンサートではなく、東日本大震災チャリティコンサートに変身していました。

会場には、私と同年代とおぼしき人々がたくさん集まり、広いホールは2階席まで埋まりました。

岩崎宏美さんは、桜田淳子・山口百恵・森昌子という、伝説の「花の中3トリオ」から少し遅れてデビューしたアイドル歌手でしたが、天性の素晴らしい声にご本人の努力を加えて実力をたくわえ、その年の多くの歌謡賞の新人賞を総なめにした方です。その後も1977年にレコード大賞最優秀歌唱賞(思秋期)、1982年には日本歌謡大賞(マドンナたちのララバイ)を受賞し、今日までさまざまな活動をされながら息長く、文字通りの「現役」を続けておられる歌姫です。昨年はDear Friends BOX でレコード大賞企画賞を受賞されています。

その宏美さんのデビュー35周年記念コンサートツアーが昨年から始まっており、その終盤の公演が大宮ソニックシティでした。昨年からこのコンサートに行ってみたいと思っていたのですが、なかなかタイミングが合わずにようやくとれたこの公演のチケット。会場にでかけてみると、たくさんの観客の中には「ヒロミTシャツ」に身を包み、ハチマキをしめて手にペンライトをもっている、かつての実力派アイドル時代を彷彿とさせる「親衛隊」のおじさまたち(失礼!)がいらっしゃいました。宏美さんは一般的には元アイドルの実力派アーティストなのでしょうが、あの方たちにとっては永遠のアイドルなのだと思いました。

コンサートは私の大好きな「始まりの詩、あなたへ」で始まりました。やさしさは人に生まれて、いちばんの宝物、というフレーズが大好きで、いきなり大きく感情を揺さぶられました。2曲歌った後のMCでは、宏美さんが大震災後のこの時期にコンサートを行うことについての大きな葛藤を吐露され、批判されることも覚悟で「こんなときだからこそ、自分ができる精一杯の事として歌を届けることをしよう」と思って神奈川・大宮のコンサートを開催する事にしたのだと話されました。私自身も「こんなときにコンサートに行っていいのか?」と「こんなときだからこそ予定した行動をして行こう」という気持ちのはざまに身を置いての数日でしたので、深い感情が内側から引き出されました。宏美さんも一瞬声が詰まり、観客も涙があふれるようなMCでした。

その後もコンサートは続きましたが、往年のヒットメドレーでは「おやじ親衛隊」の皆さまの「ひろみちゃぁぁ~ん!」の掛け声もあり、会場は盛り上がりました。それにしても、自身の若いころには何気なく聞いていた歌の歌詞の数々がこの状況ではなんと胸にせまってくることでしょうか。。。。

2部のヒットメドレーでも、「マドンナたちのララバイ」から盛り上がり、宏美ファンにはおなじみの「私たち」で会場のみんながそろって両手を左右に振るパフォーマンスにはものすごい一体感がありました。そして、最後に近づいてきた時に歌われた一曲「シアワセノカケラ」。涙が止まらなくなりました。

もう泣かないで 笑顔を見せて
あなたの未来は あなたが決める
勇気をもって 前を見つめて
シアワセノカケラは あなたの中にある

今、被災地で懸命に働いているさまざまな仲間たちの顔が浮かびました。現地で厳しい状況下、自らも被災しながら患者さまのために踏みとどまっている人たち。チームを組み、こころのケアのために現場に向かった人たち。縁あって出逢ったことのある人々が今、困難の中にあり、それを多くの人々が支えて未来を切り開こうとしている時、私たちも自分たちのやれること、やらねばならないことを行い、遠方から転院される方をお迎えし、義捐金をつのり、避難のために越していらっしゃる方々に心をつくしたいと強く思いました。

コンサートの最後は、宏美さんの音頭で「がんばれ、ニッポン!」でしめくくられ、私の中では間違いなく長く伝説になるであろう、2011年3月27日・大宮ソニックホールでの岩崎宏美コンサートは終わりました。決して軽くはない雰囲気でありながら、不思議な勇気をいただいたような、さすがにプロフェッショナルの伝える力はハンパではない、と思いました。

「思秋期」「始まりの詩、あなたへ」「シアワセノカケラ」などなど、岩崎宏美さんのたくさんの素晴らしい歌はyoutubeなどで視聴する事ができます。そして、気にいったらぜひDVDをお買い上げください(会場で宏美さんも強調されていました!)。

今日のブログを読んで「こんなときに!」と思われる方がいらっしゃるでしょう。それは、とても当たり前の気持ちだと思います。ただ、私は岩崎宏美さんが伝えたいことが自分に伝わったような気がし、それをまた誰かに伝えたい、と思ってこの文章を書かせていただきました。

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。