石の上にも
- 2010.08.01
- 日記
3年前のきょう、私は弊法人の院長として迎えていただきました。今日までの間、暖かく私をサポートしてくれた方々、時に学びにつながることがらを教えていただいた方々、自らの行動により私を導いて下さった方々に心から厚くお礼を申し上げます。
「石の上にも3年」ということわざがあります。このことわざはよく「冷たい石の上にも3年座れば温まる=つらくても我慢するといいことがある」という意味に使われていますが、語源の由来を探しているうちにインドのバリシバ尊者の話に出会いました。伝えるところでは、この方は80歳という高齢になって出家され、フダミッタ尊者の弟子となられたのでしたが、「我出家して若し三蔵を学通し、三明を得ることなくば、誓って脇を席に着けず(横たわらない)」と宣言され、大変な修行を続けられたそうです。そして尊者は坐禅石の上で坐禅を組んだまま、三年も横になって休むことはなかったということです。そのように生活のすべてを就業に費やし、3年を経る頃には、三蔵の真理を学び、三界の欲を断ち、三明という神通力を得ることができたということです。
この伝えるところからすると、「石の上にも3年」とは「大きな成果を手に入れるためには、生活の全てを振り向ける多大な努力もしくは犠牲が必要である」と言うことの喩えになります。
さて、私たちにとっての3年は過ぎました。この3年間で、私たちの法人には就業・生活支援センターが併設されました。さまざまな人たちが話し合って作った”HEART・fullメッセージ2008”を法人内に掲げるようになりました。福祉的施設をリカバリーセンター「すみよし」として病院との両輪であることが明確にされました。こういった私たちの活動が認められ、財団法人から公益法人への変更が認められました。障がいをお持ちの方の雇用が増え、全重協に参加することができました。
このような3年間の実践で”ALL for Recovery”は達成されたのでしょうか。答えは断じて「否」だと思います。では、どうなればリカバリーに到達したと思えるのでしょう。リカバリーとはあるきまった状態のものではないと思います。働くことでリカバリーを手にしたいと思っても、リカバリーには決まった形はありません。ある決まった方法論や形式によってのみそれを得ようとすることはできないことなのではないでしょうか。リカバリーは仕事やセルフヘルプグル-プのミーティングの中にだけではなく、日常の生活の中にあります。これはそれぞれの人が自ら感じるもので言葉では説明はできないものにも思います。
そして私たちの目指すリカバリーはそれぞれの人々の日常の中に、これからも成長していくものである、と思っています。
みなさま、これからもよろしくお願い申し上げます。
最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。
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