統合失調症からのリカバリーとリカバリーモデル

Warner R.:Recovery from schizophrenia and the recovery model.Curr Opin Psychiatry. 2009 Jul;22(4):374-380.を読みました。

このレビューの目的として著者があげているのは、「リカバリー・モデルは楽観主義、エンパワメント、対人的なサポートの主観的な経験から学んでおり、そして、協働による治療アプローチ、ユーザー/コンシューマーによるピア・サポート、スティグマを減じることについて生産的な役割を見つけることに焦点を当てており、世界中でサービス提供に影響しているモデルである。このレビューは、重症の精神病の転帰についての楽観主義とリカバリー・モデルの他の要素が最近の研究によって支持されるかどうか判断すること。」だそうです。


最近の研究と大規模な以前のデータは、統合失調症の転帰についての楽観主義が正当化されることを示唆する。つまり疾患を持つかなりの人々は完全に回復するし、より多くは良好な社会的機能化を回復するといいます。そして病の転帰は、発展途上の世界で人々により良好であるとのことです。また、仕事をすることは人々が統合失調症からリカバリーすることを促進するように見え、職業リハビリテーションの最近の進歩は異なっている経済と労働市場を持つ国々で効果的であることが示されたと書かれています。

要約では、リカバリーモデルの鍵となるコンセプト ― 統合失調症からのリカバリーに関する楽観主義、働くことへのアクセスの重要性とリカバリープロセスにおけるユーザー/コンシューマーのエンパワメントの価値-は科学研究で支持される。個人に内在化されたスティグマを減らす試みにおいては、リカバリープロセスを強化しなければならない。とされているようです。

文中では、IPS援助付き雇用などの職業リハビリテーションサービスがリカバリー・モデルの支援として有用であることが強調されていましたが、同時に重症精神障がいをお持ちの方の就労率は、国全体の経済が上昇傾向にあるのか否か、また、いわゆる「利益のワナ」という障がいをお持ちの方へのセーフティネットの充実が職業リハビリテーションの成果に与える負の影響に言及しており、EQOLISEでドイツのウルムとオランダのグローニンゲンのIPSの就労成果がおもわしくなかったことの説明としています。

働いて元気になることを応援することの中には、地域における雇用率を高めること、雇用の創出も視野に入れる必要があるかもしれないと思いました。


最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。