JKパターンと結論ジャンプ

統合失調症でも症状として扱われることの多い「妄想」。「妄想」の発現には、人の推論や判断にはそもそもバイアスがかかりやすく、必ずしもすべての人がすべての事柄に合理的な判断をしているとは考えられないことが関与していると思われています。

人間の情報を認知する能力には限界があるので、日常的判断においては、かなり直感的なものが多く、合理性より利便性を優先しているともいえます。したがって、判断にはその前提となる情報についても、その情報を得た背景や文脈がかなり影響を与えていると考えられます。

一方で、Garety PAらによると、妄想を持つ人たちは、確立を判断する実験「赤色と緑色の玉を2つある箱のどちらからか出して、それがどちらから取り出されたのかを推論する」では、決定されるまでの取り出し個数が、健常とされる人たちよりも有意に少なかったとされています。つまり、「少ない情報から結論に直結されるというバイアス」があるというわけです。

ところが、最近私がちらほらと耳にするようになった「ベイズ理論」によれば、新しいことを予測するにはそのことが過去にどういう確立で発生していたかを求めることで計算・予想できるので、「結論ジャンプ」は」未来予想を作成するまでに投入される情報資源が少なくてすむ、「合理性の高い」思考バイアスであるともいえます。

したがって、ベイズ理論の立場からは妄想を持つ人々に「結論ジャンプがある」ということは、健常といわれている人々に「結論慎重バイアスがある」といいかえることもできるでしょう。この観点からいえば、妄想の特徴とは確信が強いことに起因する「訂正不能」よりも、「極端な推論」にあると考えられます。一般的な推論の様式は合理性はかけますが、予期せぬ事態や、新しい展開を開くためには妥当性をもっており、「あわてて結論して後から気まずい」という拙速を避けるという意味で適応的であるといえるでしょう。

こういった認知心理学の難しい話はさておいて、情報→決断の考え方がジャンプする流れを、私はローマ字読みのイニシャルでJKパターンと呼んでいますが、ジャンプせずによく考えると 情報→研究→準備→決断 になります。このイニシャルはJKJKになります。余裕があればダブルJK、余裕がないとシンプルJKとなるので、ものごとを考える際にはダブルJKを意識するようにしています。

wikipedia:ベイズの定理→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%90%86

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